LO/ST CO/LO/RSの創作S/S+ラクガキブログ。
白騎士コンビを贔屓ぎみですが主人公最愛・オールキャラと言い切ります!
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あけましておめでとうございます。本年度も、どうぞよろしくお願いいたします。
まったくお正月な気がしませんが、スタバの福袋をうっかり買ってしまいました。私的にはかなりハズレでがっかりですorz
今回は季節物のSSに挑戦してみました。
特派ルートスザクED後、時間軸は「傷痕」→拍手内SSの後です。
主人公+ナナリー+咲世子さん。そして相変わらず主人公大好きなスザクのお話です。
よろしかったら「続きを読む」からお入り下さい。
まったくお正月な気がしませんが、スタバの福袋をうっかり買ってしまいました。私的にはかなりハズレでがっかりですorz
今回は季節物のSSに挑戦してみました。
特派ルートスザクED後、時間軸は「傷痕」→拍手内SSの後です。
主人公+ナナリー+咲世子さん。そして相変わらず主人公大好きなスザクのお話です。
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ここエリア11には、ブリタニアの支配下にあっても正月は家族で過ごすという日本の風習が残っている。
他にも、年越しには鐘を突いて煩悩を払ったり酒を飲んだり神に祈ったりと、何だかずいぶん矛盾した風習がたくさんある。
日付けはもう2日に変わり、腕時計の針は既に午前3時という時間を指していた。だがお正月の不思議な空気に包まれたこの租界では、ざわめきやイルミネーションの輝きがこの街が眠りについていないことを僕に告げていた。
特区成立後初めて迎えたこの年末年始は、反ブリタニア勢力による特区への武力介入に備えて特派までもがナイトメアと共に特区日本周辺の警備に配置された。
そんな年越しの軍務も何事もなく無事に終わり、僕はようやく住み慣れたクラブハウスへと戻ってきた。
仮眠は取ったが25時間ぐらいは働いている。おもったより疲労は感じていなかったが、とにかくシャワーを浴びて着替えたかった。汗でベタベタを通り越した軍服は、中で背中にシャツが貼り付いている。まだ臭いがしない分だけマシなのかもしれないけれど。
ナナリーへの挨拶は朝にしよう。
そして万が一にも咲世子さんやナナリーを起こしてしまうことのないように、僕は月明かりだけを頼りに自室までの廊下を歩いた。部屋の前にたどり着くと、ちょうどドアノブの高さに何かが差してある。それを手に室内に入り、とりあえず照明をつけた。美しい薄水色の封筒の中に入っていたカードには、たどたどしい文字でこうあった。
"A happy new year"
サインまで読まなくても、ナナリーが書いてくれたのだとすぐに分かる。
その下には咲世子さんの字で「どんなに遅い時間でも構いません、お着替えが済んだらナナリー様のお部屋に顔を見せてください」とあった。
僕は震える手でカードを封筒に戻すと、大きく息を吐き出した。
この世界にこうして居られるだけで十分過ぎるほど幸せなのに、こんな僕に還る場所を作ってくれるひとがいる。
そっとカードを机に置くと、僕はそう広くない室内をダッシュでシャワールームへと向かった。
コンコン。
控えめにドアをノックすると、着物姿の咲世子さんがドアを開けてくれた。
黒髪に映える赤い椿の生花。鮮やかな着物の柄は、キョウトでユーフェミア様が買ってきてくれた千代紙の模様によく似ている。ほんのり赤く口にさしている見慣れない紅もすごく艶やかで。
あまりに絵になるその出で立ちに、僕はその場でぼうっと立ち尽くしてしまった。
「着物に驚かれましたか?」
「いえ…咲世子さんがあまりに綺麗なので、ちょっと驚いてしまって」
素直に感想を口にすると、咲世子さんはまぁと口元に手をやったあと、ありがとうございますとにこやかに微笑んでくれた。そんな仕種も本当に色っぽい。
着物というのは不思議だ。女性をより魅力的に見せる力がある。
また見愡れそうになった僕は肝心な挨拶を忘れていたことに気付き、あわててそれを口にした。
「あ、明けましておめでとうございます」
「こちらこそおめでとうございます。さぁ、どうぞ中へ。ナナリー様がお待ちかねですよ」
僕はどきどきしながら奥の部屋に進んだ。
そこでは、想像した以上に可愛らしい着物姿のナナリーが僕を迎えてくれた。おもわず息を止めてしまったほど…まるで生きたお人形のようだ。
咲世子さんのものとは違う長い袖と裾には美しい日本の花々が描かれており、ミルクティーのような色をしたふわふわの長い髪は緩やかにまとめられ、かんざしと様々な生花で飾られている。
つややかな光を放つ桜色の唇も、ナナリーによく似合う。
「ナナリー……とても綺麗だよ」
「あ……ありがとうございます…」
真っ赤になって俯く姿がまた愛おしい。警備の疲れなんて、もうどこかに全部吹き飛んでいってしまった。
だがこの可愛い姿を見ているのが、僕だけなのだということに優越感よりさみしさを感じてしまう。
「ナナリー、ルルーシュは?」
ここには居ないと気配で分かっていたけれど、僕は問わずにはいられなかった。
「お兄様からは、昨日電話がありました。自分は元気だから心配しないようにと言っていましたが…声が、とてもさみしそうでした。私がさみしいっていったら、お兄様を困らせてしまうのが分かっていたので…はいと言うのが精一杯で」
「そうか…」
特区が成立してから僕が入院している間に、ルルーシュは特別な事情でアッシュフォード学園から姿を消していた。詳しくは何も聞かされていないけれど、殆ど手付かずで残された荷物そして何よりナナリーを残していったことを考えると、本当にやむを得ない事態が何か彼の身にあったに違いなかった。
ナナリーにすら何も言わないのは、ルルーシュ自体になにかアクシデントがあって心配をかけたくないからなのかもしれない。僕が式典で撃たれて入院したことは、ニュースで大々的に報道されてしまったのでナナリーに隠すことができなかったけれど、もしも僕がルルーシュの立場だったら、自分の身に何かあった場合絶対にナナリーにだけは隠し通すだろう。
「さあ、夜遅くですが胃にもたれないような簡単なおつまみを用意してありますのでどうぞ」
ナナリーを眺め、ものおもいと感慨にふけっていた僕の目の前にピックが刺さった一口サイズのオードブルが運ばれてきた。
煮物、お刺身、唐揚げ、ミートボール。ほかにもたくさんの和洋折衷の品々が並ぶ。これを用意して夜中まで待っていてくれた2人の気持ちが嬉しくて、おもわず涙ぐみそうになってしまった。
「本当に…ありがとう。でも僕は、ナナリーと咲世子さんがこうして僕を迎えてくれたことがなによりも嬉しい。それに、こんな遅くまでそのすてきな着物を着て待っていてくれたんだね」
にっこり笑った咲世子さんが答えてくれた。
「大丈夫ですよ。お帰りが遅くなるのは事前に連絡をいただいていましたから、私もナナリー様も着物の支度は夜から始めたんです。ちゃんとお昼寝もしましたし」
「さ、咲世子さん!その…それじゃあまるで私……夜中まで起きていられない子どもみたいで恥ずかしいです…!」
真っ赤になって慌てるナナリーが可愛くて、僕はまた口元が緩む。
「じゃあ、さっそくいただきます。ナナリーも食べるかい?甘いものがいいだろうか」
僕がイチゴやチョコレートケーキ、栗きんとんと呼ばれるおせち料理の集まった甘いものエリアのピックに手を伸ばしたその時だった。
常人よりも感度が良く改造されている僕の耳が、ユグドラシルドライヴの回転音を捉えたのは。
幻聴だろうか。しかし、それはどうやらこのアッシュフォード学園の前にある大学の辺りで停止したようだ。
「どうかしましたか?」
不安そうに僕に向かい手を伸ばしてきたナナリーの小さな手を、僕はそっと両手で包み込んだ。
「いや、どうやら僕と「お正月」を一緒に過ごしてくれるひとが他にもいるみたいだ」
その言葉に、きょとんとした表情のナナリーが小首をかしげた。
「きっともうすぐここに来るから。それまで待っていようか」
僕にお正月のことを教えてくれた。いつか、神社にも連れて行ってくれると約束した。
ナナリーと僕の為に、どんな理由を作ってここまでやってきたのかはわからないけれどーーーこんな無茶なら、たまにはいいかとおもう僕は軍人失格なんだろうか?
その15分後に少し乱れた袴姿で、ユーフェミア様が持たせてくれた菓子箱を抱えたスザクが現れた。
驚かない僕たち3人を見てちょっとガッカリしてたのは可哀想だったかもしれないけど、仕方ないよ。
だって、お正月は家族と過ごすって僕に教えてくれたのはスザクだからね!
(終)
(厳密には違うのだろう でも君は 僕の心が還る「場所」だから)
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