LO/ST CO/LO/RSの創作S/S+ラクガキブログ。
白騎士コンビを贔屓ぎみですが主人公最愛・オールキャラと言い切ります!
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以前無料配布したSS、ライとシャーリーとリヴァルでライナナ。
(続きを読むからどうぞ)
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生徒会室のドアが開くと同時に、乾いた音が鳴り響いた。
反射的に伏せてドアの影へと転がり込む。顔だけを上げ入り口を見やると、細くて長い色とりどりの紙テープが廊下まで流れ出ていた。
「おーい、ライ!」
中からリヴァルの声がする。
「ライ、驚かせてごめん! これはクラッカーっていうパーティー用品なの!」
シャーリーの声も聞こえた。どうやら銃声ではなかったようだ。もっとも、僕が本当の銃声を聞いたことがあるかは謎だ。今のところ、記憶にはさっぱり思い当たらない。
床で付いた埃を払い、上着を整えてから部屋の中へと入る。そこには照れくさそうな顔で向かい合うリヴァルとシャーリーがいて、二人の手には小さな円錐状の物が握られていた。おそらくあれがクラッカーだろう。床には先程見た紙テープの他にも、キラキラとした小さな星形の紙が散乱していた。
「それにしてもすごい反射神経ねー、驚いちゃった」
「どちらかというと、驚いたのは僕の方なんだが…」
「あっ、そうだよね、本当にごめんね!」
顔の前で手を合わせたシャーリーに対して、僕は軽く微笑むことで怒ってはいないという意思表示をした。途端にシャーリーが赤くなる。
「もう…本当にキミってば反則! そんな笑顔はね、特別な人以外に見せちゃ駄目なんだから…」
「ライ…俺、お前のこと本気で尊敬するわ。幻の美形は微笑みだけで女子のハートをわし掴みにできるんだな…」
「リヴァル、できたらその変な呼び名は止めてくれないか? それに美形というのはルルーシュみたいな風貌をさす言葉だろう」
リヴァルはがっくりと肩を落とすと、「はぁ〜」という大きな声を出してため息をついた。
「一体どうしたんだ?」
「自覚がない奴には何を言っても無駄ってこと。はいはい、この話はもう終わり!」
何だか腑に落ちない態度だが、それよりも二人が何をしていたのかが気になっていた僕は、話題を変えることにした。
「ところで、二人は何をしていたんだ? さっき大きな音がしたけれど…僕には、ただ部屋を散らかしたようにしか見えないんだが。早く片付けないと、ルルーシュに見つかったら怒られるだろう。でも、入ってきたのが僕で本当によかった。もしナナリーだったら、どんなに驚いたかわからないよ」
「大丈夫よ、ナナちゃんはお昼休みには生徒会室には来ないもの」
「そうは言っても、万が一の可能性はあるだろう?」
「おいおい、ライ。そこまで心配性だと、まるでルルーシュが二人になったみたいだから勘弁してくれよ。驚かせて悪かったってば、な?」
リヴァルは部屋の隅にある用具入れから箒とちりとりを持ってくると、シャーリーと床の片づけをしながらクラッカーについて説明してくれた。
「つまりクラッカーとは、大きな音と共に飾りが飛び出す使い捨てのおもちゃで、祝い事には欠かせないアイテム。それで、今のは去年の学園祭の残りだった…ということか」
「そう。後夜祭で全校生徒に配ったの。それが二個だけ余ってずっと生徒会室の棚に置いてあったの。今年の分に混ぜちゃおうかとおもったんだけど、もしクラッカーがしけってて鳴らなかったらがっかりするでしょう?」
「だから俺たちで、今やっちゃおうってことになってさ。まさかタイミングよくライが入ってくるとはおもわなかったんだ。大体、買ってきたばかりのやつでも必ず何個か不発なのが混じってるから、去年のが本当に鳴るかどうか俺たちも半信半疑だったし」
「そうそう! だって去年の私のクラッカー、紐だけ抜けちゃって鳴らなかったよ〜?」
楽しそうに思い出話をする二人を見ていて、僕もクラッカーというものに興味が湧いてきた。今年の後夜祭でも使うみたいだし、今から楽しみだ。はたして僕のクラッカーは無事に鳴るのだろうか。それに最初から大きな音がするとわかっていれば、ナナリーも驚かないだろうし。目が見えなくても、弾ける音でパーティーの盛り上がりを感じることが出来るのかもしれない。
そんなことを考えていたら、ふいにシャーリーが真顔になって僕を見つめてきた。
「ねえ、ライ…今、何を考えていたの?」
「え?」
「キミ、すごく幸せそうな顔してたよ。さっきの笑顔よりずっとずっと優しいーーうん、とってもすてきな笑顔だったから」
笑っていた自覚がなかった僕は、ありのままを答えた。
「えっと、今年の後夜祭でクラッカーを鳴らすのが楽しみだなって」
「それだけ?」
「あとは、ナナリーも耳でパーティーの雰囲気を楽しめたらいいなっておもったよ」
僕の言葉に、シャーリーとリヴァルは顔を見合わせた。
何だろう。僕がクラッカーに興味を持ったのがおかしいのだろうか。ピコピコハンマーを初めて見た時に、その後しばらくハンマーをいじっていたら子どもみたいだとみんなから笑われたが、今の反応はそれとは違う気がする。
二人の間では、二言三言ひそひそとしたやりとりがあったが、僕の視線に気付いたリヴァルががりがりと頭を掻きながら訊ねてきた。
「あのさぁ…お前って、もしかしてナナリーのことが好きなの? その、お兄さんみたいな気持ちじゃなくて、特別な女の子として…おつき合いしたいとか、そんな意味で」
「ああ。好きだよ」
改めて答えると不思議な気持ちがするが、本当のことだ。シャーリーは真っ赤になって口を押さえていて、リヴァルは口をポカンと開けている。人に訊ねておいてその反応はないんじゃないかとおもったが、あえて口にはしなかった。
僕は、ナナリーのことを考えると胸が温かくなる。
記憶の澱に沈む少女の面影に感じるものとは違う、ナナリーから感じる日だまりのような安らぎは他の誰からも感じることはなかったものだ。だから僕にとってナナリーは特別な存在だ。
僕とナナリーはほぼ毎日、一緒に過ごす時間を持っている。折り紙をしたり、他愛のない話をしながらお茶を飲んだりしていると時間が経つのがとても早く感じる。それはどちらかが無理につき合わせているという間柄ではないが、ナナリーに付き合いたいかと言われれば付き合いたい、そう答えるのは当たり前だ。
リヴァルはしばらく口を開けたままだったが、突然我に返ると僕に向かい飛びついてきた。不意打ちに近い突進だったが、僕はしっかりとリヴァルを抱きとめた。リヴァルが僕の背中をバンバンと叩く。ちょっと痛い。
「俺は今、猛烈に感動している! 記憶が戻らなくてもお前には既に人間として一番大事なハートが宿ってる!あのシスコンルルーシュを目の前にしても戦意を失わないなんて、俺もすごい勇気づけられたってゆーか」
「リヴァル、ルルのこと悪く言わないで!」
頬を膨らませたシャーリーに対して、リヴァルは悪びれた様子もなくウインクをした。
「なあ、俺とシャーリーでライとナナリーが楽しく過ごせるようにサポートすればさ、シャーリーも今よりルルーシュと過ごせるチャンスが増えるとおもうぜ? それに二人より三人の方が心強いし、これからは三人でコイバナも咲かせられるし!」
シャーリーは大きな目を瞬かせた。
「うん…たしかに、それっていいかも。私、ライとコイバナが出来るようになるなんておもわなかったよ」
「…コイバナ?」
三人で一緒に咲かせる花ってどんな花だ?
だがその疑問に答えてもらう前に、入り口のドアが開いて噂の超本人が入ってきた。リヴァルに抱きつかれている僕を見たルルーシュは軽く息を吐くと、「わざわざ昼休みに来たならちゃんと仕事しろ!」と僕たちをまとめて一喝した。
僕とリヴァルはすぐに離れると、急いで目の前の椅子に腰掛けた。シャーリーが大まかに書類を仕分けし、リヴァルがその束をルルーシュと僕に手渡してくれる。その時に僕の耳元でリヴァルが素早く囁いた。
「これからは三人でがんばろうな。全員で大きな花を咲かせて、祝いにバーンと打ち上げ花火を上げようぜ!」
僕はまだ見たことのない二つの大輪に思いを馳せた。
「ああ。僕もすごく楽しみにしているよ」
反射的に伏せてドアの影へと転がり込む。顔だけを上げ入り口を見やると、細くて長い色とりどりの紙テープが廊下まで流れ出ていた。
「おーい、ライ!」
中からリヴァルの声がする。
「ライ、驚かせてごめん! これはクラッカーっていうパーティー用品なの!」
シャーリーの声も聞こえた。どうやら銃声ではなかったようだ。もっとも、僕が本当の銃声を聞いたことがあるかは謎だ。今のところ、記憶にはさっぱり思い当たらない。
床で付いた埃を払い、上着を整えてから部屋の中へと入る。そこには照れくさそうな顔で向かい合うリヴァルとシャーリーがいて、二人の手には小さな円錐状の物が握られていた。おそらくあれがクラッカーだろう。床には先程見た紙テープの他にも、キラキラとした小さな星形の紙が散乱していた。
「それにしてもすごい反射神経ねー、驚いちゃった」
「どちらかというと、驚いたのは僕の方なんだが…」
「あっ、そうだよね、本当にごめんね!」
顔の前で手を合わせたシャーリーに対して、僕は軽く微笑むことで怒ってはいないという意思表示をした。途端にシャーリーが赤くなる。
「もう…本当にキミってば反則! そんな笑顔はね、特別な人以外に見せちゃ駄目なんだから…」
「ライ…俺、お前のこと本気で尊敬するわ。幻の美形は微笑みだけで女子のハートをわし掴みにできるんだな…」
「リヴァル、できたらその変な呼び名は止めてくれないか? それに美形というのはルルーシュみたいな風貌をさす言葉だろう」
リヴァルはがっくりと肩を落とすと、「はぁ〜」という大きな声を出してため息をついた。
「一体どうしたんだ?」
「自覚がない奴には何を言っても無駄ってこと。はいはい、この話はもう終わり!」
何だか腑に落ちない態度だが、それよりも二人が何をしていたのかが気になっていた僕は、話題を変えることにした。
「ところで、二人は何をしていたんだ? さっき大きな音がしたけれど…僕には、ただ部屋を散らかしたようにしか見えないんだが。早く片付けないと、ルルーシュに見つかったら怒られるだろう。でも、入ってきたのが僕で本当によかった。もしナナリーだったら、どんなに驚いたかわからないよ」
「大丈夫よ、ナナちゃんはお昼休みには生徒会室には来ないもの」
「そうは言っても、万が一の可能性はあるだろう?」
「おいおい、ライ。そこまで心配性だと、まるでルルーシュが二人になったみたいだから勘弁してくれよ。驚かせて悪かったってば、な?」
リヴァルは部屋の隅にある用具入れから箒とちりとりを持ってくると、シャーリーと床の片づけをしながらクラッカーについて説明してくれた。
「つまりクラッカーとは、大きな音と共に飾りが飛び出す使い捨てのおもちゃで、祝い事には欠かせないアイテム。それで、今のは去年の学園祭の残りだった…ということか」
「そう。後夜祭で全校生徒に配ったの。それが二個だけ余ってずっと生徒会室の棚に置いてあったの。今年の分に混ぜちゃおうかとおもったんだけど、もしクラッカーがしけってて鳴らなかったらがっかりするでしょう?」
「だから俺たちで、今やっちゃおうってことになってさ。まさかタイミングよくライが入ってくるとはおもわなかったんだ。大体、買ってきたばかりのやつでも必ず何個か不発なのが混じってるから、去年のが本当に鳴るかどうか俺たちも半信半疑だったし」
「そうそう! だって去年の私のクラッカー、紐だけ抜けちゃって鳴らなかったよ〜?」
楽しそうに思い出話をする二人を見ていて、僕もクラッカーというものに興味が湧いてきた。今年の後夜祭でも使うみたいだし、今から楽しみだ。はたして僕のクラッカーは無事に鳴るのだろうか。それに最初から大きな音がするとわかっていれば、ナナリーも驚かないだろうし。目が見えなくても、弾ける音でパーティーの盛り上がりを感じることが出来るのかもしれない。
そんなことを考えていたら、ふいにシャーリーが真顔になって僕を見つめてきた。
「ねえ、ライ…今、何を考えていたの?」
「え?」
「キミ、すごく幸せそうな顔してたよ。さっきの笑顔よりずっとずっと優しいーーうん、とってもすてきな笑顔だったから」
笑っていた自覚がなかった僕は、ありのままを答えた。
「えっと、今年の後夜祭でクラッカーを鳴らすのが楽しみだなって」
「それだけ?」
「あとは、ナナリーも耳でパーティーの雰囲気を楽しめたらいいなっておもったよ」
僕の言葉に、シャーリーとリヴァルは顔を見合わせた。
何だろう。僕がクラッカーに興味を持ったのがおかしいのだろうか。ピコピコハンマーを初めて見た時に、その後しばらくハンマーをいじっていたら子どもみたいだとみんなから笑われたが、今の反応はそれとは違う気がする。
二人の間では、二言三言ひそひそとしたやりとりがあったが、僕の視線に気付いたリヴァルががりがりと頭を掻きながら訊ねてきた。
「あのさぁ…お前って、もしかしてナナリーのことが好きなの? その、お兄さんみたいな気持ちじゃなくて、特別な女の子として…おつき合いしたいとか、そんな意味で」
「ああ。好きだよ」
改めて答えると不思議な気持ちがするが、本当のことだ。シャーリーは真っ赤になって口を押さえていて、リヴァルは口をポカンと開けている。人に訊ねておいてその反応はないんじゃないかとおもったが、あえて口にはしなかった。
僕は、ナナリーのことを考えると胸が温かくなる。
記憶の澱に沈む少女の面影に感じるものとは違う、ナナリーから感じる日だまりのような安らぎは他の誰からも感じることはなかったものだ。だから僕にとってナナリーは特別な存在だ。
僕とナナリーはほぼ毎日、一緒に過ごす時間を持っている。折り紙をしたり、他愛のない話をしながらお茶を飲んだりしていると時間が経つのがとても早く感じる。それはどちらかが無理につき合わせているという間柄ではないが、ナナリーに付き合いたいかと言われれば付き合いたい、そう答えるのは当たり前だ。
リヴァルはしばらく口を開けたままだったが、突然我に返ると僕に向かい飛びついてきた。不意打ちに近い突進だったが、僕はしっかりとリヴァルを抱きとめた。リヴァルが僕の背中をバンバンと叩く。ちょっと痛い。
「俺は今、猛烈に感動している! 記憶が戻らなくてもお前には既に人間として一番大事なハートが宿ってる!あのシスコンルルーシュを目の前にしても戦意を失わないなんて、俺もすごい勇気づけられたってゆーか」
「リヴァル、ルルのこと悪く言わないで!」
頬を膨らませたシャーリーに対して、リヴァルは悪びれた様子もなくウインクをした。
「なあ、俺とシャーリーでライとナナリーが楽しく過ごせるようにサポートすればさ、シャーリーも今よりルルーシュと過ごせるチャンスが増えるとおもうぜ? それに二人より三人の方が心強いし、これからは三人でコイバナも咲かせられるし!」
シャーリーは大きな目を瞬かせた。
「うん…たしかに、それっていいかも。私、ライとコイバナが出来るようになるなんておもわなかったよ」
「…コイバナ?」
三人で一緒に咲かせる花ってどんな花だ?
だがその疑問に答えてもらう前に、入り口のドアが開いて噂の超本人が入ってきた。リヴァルに抱きつかれている僕を見たルルーシュは軽く息を吐くと、「わざわざ昼休みに来たならちゃんと仕事しろ!」と僕たちをまとめて一喝した。
僕とリヴァルはすぐに離れると、急いで目の前の椅子に腰掛けた。シャーリーが大まかに書類を仕分けし、リヴァルがその束をルルーシュと僕に手渡してくれる。その時に僕の耳元でリヴァルが素早く囁いた。
「これからは三人でがんばろうな。全員で大きな花を咲かせて、祝いにバーンと打ち上げ花火を上げようぜ!」
僕はまだ見たことのない二つの大輪に思いを馳せた。
「ああ。僕もすごく楽しみにしているよ」
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