LO/ST CO/LO/RSの創作S/S+ラクガキブログ。
白騎士コンビを贔屓ぎみですが主人公最愛・オールキャラと言い切ります!
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修羅場続きでなかなかアップできなかったガールズトークSS、ルート未定でユフィとナナリー。ハロウィン関係ない更新です…。
恋バナをテーマに書いていたのですが、長くなってしまったので途中で切りました。
恋に恋してようが何だろうが、誰かを好きという言葉を胸に秘めてる子はむちゃくちゃ可愛いとおもいます。
最後になりましたが拍手ボタンを押してくださった皆様本当にありがとうございました。すごく嬉しかったです!
恋バナをテーマに書いていたのですが、長くなってしまったので途中で切りました。
恋に恋してようが何だろうが、誰かを好きという言葉を胸に秘めてる子はむちゃくちゃ可愛いとおもいます。
最後になりましたが拍手ボタンを押してくださった皆様本当にありがとうございました。すごく嬉しかったです!
プライベートルームのオートロックの音を聞き届けると、ユーフェミアは大きく伸びをした。
「うーん! 今日も、お疲れ様でした!」
おもわず出た声は大きな独り言になってしまう。
もちろんこの程度のことでは、ユーフェミアの侍従は表情すら動かさない。窓から飛び降りるのが日常的だったユーフェミアに慣らされたのだから、それも当然である。
それでもユーフェミアなりには彼女たちへの気遣いがあるのだ。
今日1日の間に、色々なことがあった。
半分は、まだユーフェミア本人にも信じられない気持ちがある。
アッシュフォードの学園祭で、スザクの操るガニメデの掌から宣言した「行政特区日本」一大構想の発表--結果的に大変な騒ぎになってしまい、アッシュフォードの学生たちには申し訳ないことをしてしまったと反省している。
それでもユーフェミアにとっては、本当にすてきな1日だった。
再会したナナリーの目が、いまだに見えないことはユーフェミアの胸を痛めたが、精神的な原因によるものだというなら、きっかけさえあれば見えるようになるのだ。
足だって、もう少し医学が進歩すれば自力で歩けるようになるかもしれない。
その可能性を、自分ならきっと与えることができる。
何より、名を変え身を隠していてもまだ命を狙われる恐れのある異母きょうだいの現状が、ユーフェミアにはどうしても耐えられなかった。
ナナリーには一刻も早く、安全で安心できる環境を用意してあげたい。
そのためにも早く特区を実現させて、ルルーシュとナナリーと一緒に暮らしたい。
ユーフェミアは決意を新たに、胸の前で手のひらを合わせた。
日本人のため、スザクのためというのもユーフェミアの本心だが、行政特区日本にはユーフェミア個人の願いもたくさん込められている。
「ルルーシュ…あなたも、来てくれますよね?」
思わず口にした願いは、今度は想像以上に小さな声になってしまい、ユーフェミアはそっと両頬に手を当てた。
きっと、今の自分はすごく情けない表情をしている。ルルーシュを信じてる、でも同じくらいに不安で仕方がない。
離れていた時間が、変わってしまった立場が、ルルーシュの起こしたブリタニアへの反逆が、ユーフェミアの想像以上の未来を作り出してしまうのかもしれないと。
しかし、もうユーフェミアも道を選んでしまった。びっくりするほど迷いがない自分の感情に従い、実姉のコーネリアにすら相談せずに一歩を踏み出した。
ルルーシュとナナリーのためになら、今までの自分のすべてを手放してもかまわないとおもえた。
だから今のユーフェミアには、ルルーシュを信じて待つことしかできないのだ。
ぼんやりと壁時計を見上げると、いつの間にか日付が変わっていた。
とりあえずお風呂に入らなくちゃ、とユーフェミアは更にひとりごちた。
髪を洗ったり乾かしてくれる侍従はもう置いていない。身の回りの世話すべてを焼いてもらう生活を、ユーフェミアはエレメンタルスクールで終わりにしていた。
おもえばあの頃から、独立心は人一倍強かったのだとおもう。せめて民の暮らしから遠ざかる日常からは卒業しようと、母親にせがんで。
姉のように武芸に秀でていないと自他共に認めていたから、軍人という選択肢は選ばなかった。しかしユーフェミアは、自分にできるやり方で、民を守れる主になりたいとずっと考えていた。
それでも自分に付けられた渾名を耳にする度に、まだその名の通りの「お飾り」の自分が悔しい。
ユーフェミアは大きなシニヨンに指を入れてくしゃくしゃと崩す。頭皮に解放感と重みを感じた途端に、ポーチに入れたままだった携帯電話が軽快なメロディーを奏でた。
まさか、もうかけてくれるなんて……!
ユーフェミアは慌ててベッドサイドまで戻ると、そのままポーチをひっくり返して携帯を手に取った。
「ハロー、ナナリー?」
「あっ…ユフィ姉さま。今、お話ししても大丈夫ですか?」
「もちろんです。ナナリーから電話してくれるなんて、私本当に嬉しいです!」
ユーフェミアはポシェットの中身を大急ぎで元に戻すと、それを枕元に押しやりベッドに飛び乗った。片方だけくしゃくしゃに崩れた髪がシーツの上に散らばっている。思い切ってもう片方にも指を入れて勢いよく崩した。今はブラッシングよりも、ナナリーと話せることの方が大切だ。
「あの、特区のこと…びっくりしました。ユフィ姉様は、すごいですね。いつもみんなの幸せを一番に考えて…私なんて、人に助けてもらうばかりで。何も出来ないのに」
「もう、そんなことないです! ねえナナリー、私の背中を押してくれたのは、あなたなの。私も、今までは…何も出来ない自分が歯がゆかった。でもあなたと、ルルーシュと一緒に暮らせる優しい世界を作る方法をおもいついたら、身体が勝手に動いたの」
「ユフィ姉さま…本当にありがとうございます」
言葉とは裏腹に、ナナリーの声はなんだか少し沈んでいるように聞こえる。
「ナナリー…もしかして、あなたに相談もせずに決めてしまったこと、怒っているの? そうだったらごめんなさい。私って…いつもこうなんです」
「ち、違います! 私、本当に嬉しかったです。特区はユフィ姉様が、私とお兄様ーーそしてスザクさんや日本人の方のことを考えて提案されたのだとわかっていますから」
ユーフェミアは黙ってナナリーの話を聴くことにした。少し寂しそうな声の理由も、きっと話してくれると信じて。
少しの沈黙のあとに、ナナリーは言葉を続けた。
「あの…ユフィ姉様。特区に住むには…どんな審査があるのですか?」
おもいがけないナナリーの問いかけに、ユーフェミアは驚く。
「やだわ、ナナリーとルルーシュのためにも考えた特区なのよ? 審査なんて、難しいことは何もないです! 日本人の方にも安心して参加してもらえるように、生活に必要な最低限の情報しか登録しないようにするつもりなの」
「でも、例えば記憶がなくて、IDもわからなくて、手続き上問題が出てしまうような方でも…大丈夫ですか…?」
必死に言葉を紡ぐナナリーの顔が目に浮かぶ。
ユーフェミアはあっさりと先ほどの決意を撤回した。
「ナナリー、その方は一体どなた?」
「えっ……!」
今度は真っ赤になってうろたえるナナリーの顔が見えるようだ。可愛い妹は、とてもわかりやすくて素直だ。
「ユ、ユフィ姉様…お姉様は、やっぱりすごいですね…」
「ふふ。私、ナナリーにはたくさんたくさん聴きたいことがあるんですよ?」
「お、お手柔らかにお願いします…」
ユーフェミアはベッドにうつぶせになると枕を抱えて、本格的に長電話をする体制を整えた。
「では、まずはその方のお名前から教えてください!」
あれだけルルーシュに寄り添って生きてきたナナリーが、今他の誰かを特区に連れて行くために勇気を振り絞ったのだ。
もしかしたら、レジスタンスの日本人なのかもしれない。それでもユーフェミアは構わないとおもった。
名前も素姓も明かせず、不自由な生活を強いられているナナリーが、こんなにも心を許している相手なのだから。
もしできることなら、受話器の向こうに居るかわいい妹を今すぐ抱き締めてあげたい。そして、子どもの頃のように一つのベッドで横になりながら夜通し話したい。
すぐに実現できそうで、でも手の届かないささやかな願い。
いつの間にかユーフェミアの携帯電話を握る指には力がこもっていた。
続く かも
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