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LO/ST CO/LO/RSの創作S/S+ラクガキブログ。 白騎士コンビを贔屓ぎみですが主人公最愛・オールキャラと言い切ります!
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過去のスザク誕生日SS「It's for you」(スザクとライ+ユフィ&ゼロ) の数年後の設定です


話自体が少し長くなったので、今回から追記ではなくて記事をわけてます

拍手ボタン押して下さった皆様、本当にありがとうございました! めっちゃ元気でました

私生活ボロボロなんで沁み入ります(涙)

「何で?」

その影が誰なのかが分かる距離まで近づくと、僕は思わずそうつぶやいていた。

全速力で走ってきたとはいえ、男の顔を赤く染めているのは、隠そうともしない期待と歓喜だった。
すぐ目の前にいる僕をまるきり無視して、少し離れた明かりの中に立ったライを一心に見つめている。


自分たち二人を白カブト青カブトと呼び、政庁では見かける度にどんなに距離があってもスザクに「メンチを切ってくる」男、黒の騎士団幹部の玉城だ。

一体ライとどういう関係なのかーーものすごく気になる。でも玉城に聞く気にはなれない。できれば口をききたくないし、僕の存在がないものとして処理されている以上、返事を期待できないのは明らかだった。

大きく肩で息をする玉城を、ライはじっと見つめた。ほとんど無表情だったライが、ほんのすこしだけ目じりをゆるめた。それから視線が横に滑っていき、僕たちの後ろにはためく白いスクリーンで止まる。

突然玉城が、大声を上げた。

「違う! 俺じゃねえって! やぐらとか観客席の設営は俺が仕切ったけど、照明とかはブリキ野郎がやってた――」

そこで唐突に言葉が切れる。

ライの顔から表情が消えていた。そのまま瞑目し、再び目を開くと、その視線にはわずかに怒気がこもっていた。ひっと、短く玉城が叫ぶ。

ライは無言のまま、既に抜刀していた宝剣を水平に構えると、片手だけで円を描くようにゆっくりとまわしはじめた。

1周目は同じ速度でくるりとなめらかに、そして2周目はカチカチと音を立てて回る時計の秒針のように。

ただし、指し示す角度は一定ではなく、その動きには不思議な揺らぎがあって、逆に視線が引きつけられる。僕はそのまま見とれそうになった。

「あーーーーーーーーーー!」

また玉城が大声を出す。するとライが、玉城を見て微笑んだ。

よくできました、と小さな子どもに微笑みかけるときのような、甘くてふわふわとした、綺麗というよりも優しさの滲んだ顔ーー途端に胸がぎゅっと痛くなる。
あんな表情、僕だって滅多に見れないのに。

何で、どうして、こいつなんかに。

玉城はまるで壊れたばね仕掛けのおもちゃのように、首をかくかくと前に何度も振ると、そのまま猛スピードで走り去った。

二人の間にはどんなやりとりがあったんだろう。

ライの動きには何か意味があったことはわかるが、僕にはさっぱり見当がつかない。胸の痛みはあっという間に形を変えて、指先まで広がった痺れでその場に立ち尽くした。

振り返ることなく演舞場の中央に歩いていくライをただ見送っていると、低い声で名前を呼ばれた。

「いつまでそこに突っ立ってるつもり?」

声をしたほうを振り返ると、騎士団の制服に身を包んだカレンが親指で観客席を指していた。

「あんたの席はあっち。ほら、早く付いて来なさいよ」

(続く)
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