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LO/ST CO/LO/RSの創作S/S+ラクガキブログ。 白騎士コンビを贔屓ぎみですが主人公最愛・オールキャラと言い切ります!
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すざたんの10日に間に合わず、しかも紙からのサルベージが間に合わないので打ち直したところだけアップしますorz

過去のスザク誕生日SS「It's for you」(スザクとライ+ユフィ&ゼロ) の数年後の設定です

アップしたらこの記事に追記していきます!

スザクお誕生日おめでとう ライからの愛情には負けるけど私もスザクをあいしてる!

「スザク、僕なら気にしてないよ」

肩に置かれた手に、僕はのろのろと俯いていた顔を上げた。

今日のライは、薄い光沢のある一枚布を纏っている。額に流れる前髪や腰布を押さえる金の帯は、表面加工を施された繊細な金細工。

左手には、まばゆい輝きを放つ三日月刀と宝石の散りばめられた鞘を携えている。

祝いの席での舞踏に使われる宝剣は、ブリタニア本国から持ち込まれた年代物の真剣だった。

彼はこれを使って舞を踊る。
僕のために。僕のせいで。


黙ってライの顔を見返しているだけの僕をまるで励ますかのように、ライは穏やかな笑みを浮かべた。

「スザク、僕は君のために舞うんだ。そのことを忘れないでほしい」

その言葉に、僕はただ頷くことしかできない。それでもライには十分伝わった。微笑みがいっそう甘くやわらかいものに変わる。

ライは壁に掛かる時計で時刻を確認した。午前0時まで、あと30秒もない。

「時間だ。行こう」

肩に載っていた手が拳の形に変わり、僕の目前に差し出される。
ようやく立ち上がった僕は、その拳に自分のそれを軽く打ち合わせた。先にライが部屋を出る。僕もその後に続いた。


薄暗い廊下には僕の靴音だけが響く。前を歩くライは裸足で、足音はまったくしない。まるで猫みたいだ。

外が近づくにつれて、ライの纏う空気が張り詰めたものに変わっていくのがわかる。

それは彼が意図的に発している畏怖のオーラだ。殺気だと錯覚するほど威圧的なそれに、僕はおもわずごくりと生唾を飲んだ。

のぼせたような、苦しいような、歓喜と恐怖がない交ぜになったような感覚は、僕の少ない語彙ではうまく表現できない。
今までにも何度かこの感覚を経験したことがあったけれど、到底慣れるものではない。

こんなとき僕は、彼が王だったという過去を強く意識させられる。


人の上に立つ統治者であり、国と民を守り戦う軍神と恐れられたかつての少年王。
彼のそばに立つだけで全身の細胞が震え、それが絵物語ではなく真実なのだと全身で感じる。

今かける相応しい言葉をおもいつかないまま、ライの気配にのまれた僕は黙ってその背を追った。

誕生日プレゼントは、今年も約束どおり彼の剣舞だ。ただ去年までと違うのは、それを見るのが僕だけじゃないってことだ。





今までの僕の人生は、大切な人たちに嘘をつき続けることで成り立っていた。

それでも彼らを守るために、日本を取り戻すためには必要だとおもった僕は、嘘を重ね続けた。

自己嫌悪の泥沼に頭のてっぺんまで埋まって生きてきた僕に、嘘をつくこともそれに苦しむことも、生きるとはそういうことだと言ってくれたのはライだった。

彼はありのままの僕を受け入れて、まっすぐに手を差し伸べてくれた。

「だって僕の名前も存在も、嘘そのものじゃないか」と笑ったライの顔には、暗さも迷いも全然なかった。

それは、ライがこの世界で生きることを決意した覚悟の証だった。だから僕は、これからも彼の相棒でいるために、もう迷わないと決めたんだ。


この世界でイレギュラーな存在だったライは、もう僕の人生に欠かすことのできない大切な相棒だ。

ライが僕に生きることを望んでくれたように、僕もライに共にある未来を望んだ。

必要なら嘘だってつくし、誰かとの衝突ももう恐れない。正しいやり方だけにしがみついていたら、僕のために生きることを選んでくれたライの隣に立ち続けることはできない。


だから最近の僕はたぶん、いや絶対に気が緩んでいたのだとおもう。そうじゃなければカレンに聞かれても、馬鹿正直に答えたりなんかしなかった。




突然開けた視界とライトの眩しさに目がくらむ。

明かりに慣れた目で辺りを見回すと、騎士宿舎の前には、わずか数時間で組まれたとはおもえないような立派な演舞場が設営されていた。

すでに左右の観客席はびっしりと埋まり、ざっと見ただけでも300人は下らない。

向かって左側の座席全部と右側の3分の1の座席は、黒の騎士団の制服で埋まっている。残りは駐在しているブリタニア兵と、おそらく政庁の一般職員だ。正面の席には、既にユフィとゼロが着席していた。

騎士宿舎の玄関はライの要望で消灯されているから、まだ僕たち2人の姿は誰にも見えていないはずだ。

僕は一歩足を踏み出すと、定位置である彼の左隣に立った。

ふと何かがはためく大きな音に宿舎を振り返ると、屋上からたらされた布が巨大なスクリーンとなって演舞場の中央を映し出していた。
今はスポットライトが交差した円だけが映っている。

会場設営をした担当者にきちんと連絡が行ってなかったのだろう。これはルール違反だ。
ライは決して撮影しないことを条件に、観客の前で舞うことを承諾したのだ。


途端にライの放つ殺気が、一瞬で膨張したのがわかった。ざわめきが、まるで何かに飲み込まれたかのように止んでいく。

ライの王たる威厳は、この場にいるものがほとんど軍人である以上絶大だった。

ライは明かりの中へとゆっくりと歩みを進める。それでも静まり返った場内からは誰の声も聞こえてはこない。


ゆっくりとライが左側の観客席の一点に視線を向けた。

途端、誰かが観客席から転げ出た。暗がりの中を縫うように、こちらに一目散に駆けてくる。



(続く)

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