LO/ST CO/LO/RSの創作S/S+ラクガキブログ。
白騎士コンビを贔屓ぎみですが主人公最愛・オールキャラと言い切ります!
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実は食中毒で寝込んでいました…orz
色々酷くて詳しくは割愛しますが(←むしろ書けない)、今流行っているそうなので皆様もお気を付けてください!
★
やっと頭が動くようになりましたので、これから全力で原稿…もう少しだけ潜ります。
また最後になりましたが、拍手ボタンを押してくださった皆様本当にありがとうございます!返信不要でメッセージくださった皆様にも愛の思念波を送ります!
色々酷くて詳しくは割愛しますが(←むしろ書けない)、今流行っているそうなので皆様もお気を付けてください!
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やっと頭が動くようになりましたので、これから全力で原稿…もう少しだけ潜ります。
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寄稿させていただいた原稿只今脱稿しました! HAL(仮)様にもう足向けできないです…あ、前からだったorz
2010/02/28 HY/PE/R CO/NT/RA/ST
<E-28>「似非」様スペース
にて発行予定の騎士皇帝本に、7P小説を書かせていただきました。文字数は数えてないのですが、B5の御本なので結構多いのかもしれない。
なお、当日は白の騎士アンソロジーを委託していただく予定です。
私のスザクの初見はR2スザクなので、絵は2期の険しい顔の方がしっくりきます。でも描いていると辛い…描きづらいけど、のほほんと頬を染めているロスカラスザクが好きです。
下にアップした今更なお正月SS「Anemone」は、肝心な台詞を抜かしたバージョンでアップしていたので修正しました。あまりハッピーな終わりではないかもしれませんが、ルルーシュに奇蹟を起こすのはライであってほしいとおもうのです。もうルルーシュには大切な人がそばにいるんだよと気がついてほしい…そんなおもいで書いたので、きっとこの後は学園編になるのかな。
そして今更ですが、motomiさんとピンポイントでクラブに会いに行ってきました。
4回はガン見しました。妄想もたくさんしました。男性がクラブを食い入るようにして見ているのを見る度に「この人もライが好きなんだ…!」と勝手に嬉しくなってました。パイロットじゃなくてランスファンかもしれないですよね(いや絶対)。
個人的にはアルビオンがクラブの頭上を旋回しているのがもう……(以下自重)
とりあえず2機予約しました。一刻も早く白の騎士を並べたいです。なにこのイケメン(クラブ)!メカに萌える日がこの年になって来るなんてどんな罠。
次は3月の原稿です。がんばります。
また最後になりましたが拍手ボタンを押してくださった皆様本当にありがとうございました!今はブラウザの都合で記事を折り畳むことができないのでお返事を控えさせていただいているのですが、ものすごく励みになります。返信不要の方もありがとうございます!
最後に
いやいや、C&Mの開発ソフトは複数形でしたから。私はまったく諦めてません!(でも泣いたorz)
「遅い! どこで夜遊びしてたのよぅ〜!」
いきなり誰かに抱きつかれたルルーシュは、そのまま無理な姿勢で部屋へと引き込まれてバランスを崩した。
倒れずに済んだのは、横から伸びてきた腕が自分に抱きついた女性ごと支えてくれたからだ。
ルルーシュの視界を埋める細いうなじからは、ほのかなシャボンの香りと濃いシェリー酒の匂いが漂う。既に立っていることすら億劫なルルーシュにはその刺激は強すぎ、くらりとめまいがした。
「ルルーシュ、ミレイさんの言う通りだよ。こんなに遅くなるなら電話の一本ぐらい入れてほしかったな」
咎めるというよりは、心配していたという感情の滲んだ心地良い声に、素直な謝罪の言葉がルルーシュの口をついた。
「すまない。ちょっと…立て込んでいたんだ」
「そうか。じゃあ、とにかく座って」
「早くぅ!」
ライはそれ以上は尋ねることなく、ルルーシュからミレイを引き取り席を勧めてくれた。そのまま片腕でミレイを抱えると、カーディガンを羽織らせるべく奮闘をはじめる。ミレイが身じろぐ度にドレスのあちこちに入ったスリットから桜色に上気した肌が大胆にのぞいた。その色鮮やかな花柄のドレスに一層咲き誇るアネモネの花が、ルルーシュの目を惹きつける。
露出の激しい魔女との生活でそれなりに免疫の出来たルルーシュも、今日のミレイのパーティードレスは目のやり場に困る代物だった。何しろ面積と縫い代が極端に少ないのだ。
ライの頬もほんのりと赤く染まっている。感情が表に出にくい男だが、あれは酒のせいではないだろう。
その会長が持ち込んだのか、部屋の中央には壁に追いやられたダイニングセットの代わりに毛布のかかった低い箱机が鎮座している。
たしか…そうコタツという日本の暖房器具だ。
卓上のコンロからは良い匂いがただよい、ミカンの入ったカゴのとなりには色とりどりのお菓子の箱が山積みになっている。
その周りに、ボンボンチョコレートの包み紙と空き箱がいくつか転がっていた。ミレイの酔った原因に眉根を寄せたルルーシュだったが、仮に自分がこの場にいたとしてもミレイを止めることはできなかったという結論にたどり着き、それ以上考えることを止めた。
とりあえず嘘をつかずに済んだことにほっとしたが、まだ肝心な二人は顔さえ合わせていない。
ナナリ−はコタツへ足を入れ一心にミカンの皮を剥いていた。
かなり怒っているのだろう、ルルーシュには目もくれようとしない。自業自得なのだとわかっていても、疲れ切った心と体にその仕打ちは何よりも堪えた。
一体、どうしたら許してもらえるだろう。気持ちばかりが焦り何一つ言葉にできない。
霞がかかったような思考の中で、ルルーシュはライが今度は器用にクッションを使ってミレイを支えコタツへ座らせる様子をぼんやりと眺めた。コタツに落ち着いた途端ライに寄りかかってウトウトし始めたミレイは、まるでテレビドラマによく出てくる酔っ払って帰ってきた父親のようだ。
若干の呆れと可笑しな微笑ましさに、ルルーシュは思わず苦笑をもらした。
その時突然ナナリーに呼ばれた。
「お兄様、外は寒かったでしょう。早くこちらで足を温めてください」
慌ててルルーシュが顔を向けると、ナナリーはコタツの掛け布を持ち上げて待ってくれていた。それに吸い寄せられるようにして、ルルーシュはストンとナナリ−の隣に腰を降ろした。
「ナナリ−、すまない。今夜は一緒に食事すると約束していたのに…その、実は料理もまだ途中で」
「もう、お兄様! 一番先に言う言葉があるでしょう?」
怒っているというよりは呆れた様子のナナリーにルルーシュは面喰らった。
きっと拗ねた声で叱られるとおもっていたのに、すっかり大人になったナナリ−の成長が嬉しくもありさみしくもある。
どう答えていいかわからずただ妹の顔をまじまじと見つめ返したルルーシュに、ナナリーは剥き終わったばかりのミカンを皮で作った入れ物に乗せて差し出した。
「お兄様、新年おめでとうございます。これは私からの『お年玉』です」
「あ…ありがとうナナリ−。新年、おめでとう」
「おめでとう」
「おめでと〜ぅ!」
一通りの挨拶が終わり、ルルーシュがそろそろと足を伸ばすと爪先にふにゃりとした温かいものが触れた。
「ほわっ!」
「あっ、お兄様が当たりです!」
ナナリ−の嬉しそうな声に掛け布を持ち上げると、アーサーと目が合った。
にゃあ、とまるで挨拶のように鳴いたあと黒猫は頭をルルーシュの足の甲に載せて丸くなる。わずかな重みはほんのりと温かい。
「咲世子さん曰わく、冬の家族団らんはコタツにミカンが王道だそうだ」
「あと、猫もマストアイテムなんです!」
ライとナナリーの息の合った説明に軽い嫉妬を覚えて、ようやく調子を取り戻したルルーシュは一番の疑問を口にした。
「…お前がここにいるのはまだわかるんだが、どうして会長までいるんだ? いつもならニューイヤーはブリタニア本国の生家に帰るのに…それに咲世子はどうした?」
自分を棚に上げて詰問したルルーシュに気を悪くした様子もなく、ライは穏やかな笑みを浮かべて答えた。
「昨日の晩、ルルーシュが大慌てで出かけていくのが窓から見えたんだ。何だか胸騒ぎがして、ナナリーの様子を見に行こうとしたら、ちょうどミレイさんが来てくれた。だからここで一緒に君の帰りを待たせてもらうことにしたんだ。咲世子さんはついさっきアッシュフォードの屋敷の様子を見に戻ったよ」
するとミレイがトロンとした瞳をルルーシュへと向けてきた。
「だって、ライとナナちゃんにさみしいニューイヤーを迎えさせるなんて、できないじゃない。最近ルルちゃんはあてにならないから…おじい様にお願いして、私だけ日本に残ったのよ」
ミレイのおもいがけない言葉にルルーシュは目を見開いた。
ナナリーには咲世子が付いているし、少なくともライはさびしがるような年齢ではない。
ここにわざわざコタツや山盛りの菓子を持ち込んでまで、俺を一緒に待っていた理由がわからない。
ライは再び頬を染める。
「その…君には迷惑かもしれないけれど。記憶のない僕にとって、いつもそばにいてくれるルルーシュとナナリー、咲世子さんは本当に特別な人なんだ。だから僕はここで、君と一緒に新しい年を迎えたかった。みんなとルルーシュを待っていたかった。それにミレイさんは最初からコタツを用意してくれていて」
「もちろん! 私はライの、そしてナナちゃんとルルーシュの保護者ですから!」
ミレイは勢いよく両手を挙げてライに抱きつくと、そのまま後ろに倒れ込んだ。ライの声にならない悲鳴が漏れて、二人の姿はドサリという音と共にコタツの向こう側へと消えた。
ナナリーはその音に驚くこともなくクスクスと笑う。
「私…こんなに楽しいニューイヤーの晩は初めてです。お兄様を待っている間にゲームをしたり、おしゃべりをたくさんして…ずっとワクワクして、とても楽しくて。でもお兄様が帰ってきてくれたので、今が一番楽しいです!」
ニューイヤーを祝う習慣は、ブリタニアにはない。だから日本に来る前も年越しにこんな風に騒いだことはなかった。
時には母上がいない年もあった。その年はきょうだい2人で早々とベッドに潜り込んで、気が付いたら年が変わっていた…ルルーシュのニューイヤーの記憶といえばそのくらいだった。
本格的に眠ってしまったミレイをようやく寝かしつけたライは、起き上がるとコンロにかかっていたスープをルルーシュによそってくれた。
「咲世子さん特製の豚汁だ、体が温まるから飲むといい。咲世子さんは明日の朝に戻ってくることになっているから、そしたらみんなでおせち料理を食べよう」
峠を越した空腹感に胃が痛んだが、立ち上る湯気と香りがルルーシュの鼻腔を優しく撫でた。
ルルーシュの欲しかったものが、今目の前にある。
手に入れることに必死で奪うことしか考えられなかった。
いつの間にか、ギアスでしか人の心を思い通りにできないジレンマに苦しんでいた。
だから気が付かなかった。
ただ何の掛け値もなく、自分たちの存在を望んでくれる人がそばにいたことも、向けられていたまっすぐな愛情もーー今この瞬間まで理解してはいなかったのだ。
「お兄様?」
兄の感情の変化に敏い妹は心配そうな声を出す。
その声にルルーシュは冷えた指先でそっとナナリーの手に触れた。
「きゃっ、冷たい!」
「…ごめんよ、ナナリー。まだ体中がかじかんでいて…うまく、しゃべれそうにないんだ」
震える声をごまかしたくてそう言ったルルーシュの手を、ナナリーはきゅっと握り返した。
「…じゃあお兄様、早く温まって下さいね」
目の前のライは、見ているこちらが照れるほどの幸福そうな笑みを浮かべた。
「さぁ、冷めないうちにどうぞ」
ルルーシュは空いた方の手でマグカップを受け取った。指先に広がる温かさがもたらす痺れすら愛おしい。
己の選んだ道に後悔はなかった。
ブリタニアという世界を壊し、ナナリーが穏やかに暮らせる新しい世界を作るためならば、この先に待つ結末がどんなに惨めで残酷な終わりでも構わないとおもう。
そしてこれからも勝利を手にするために他人を、最後には自分自身もチェスの駒のように使い捨てるのだろうと確信していた。
それでも、もう考えずにはいられない。
明日も、その次の日もずっとずっとーー明日という1日を積み重ねていけば、またここで穏やかに新しい年を迎えられるのかもしれないと。
そんな馬鹿げたゼロに等しい可能性に、僅かな望みすら見いだそうとする自分の愚かさにルルーシュは唇を噛んだ。
俺には願うことすら許されはしない。だからこの願いは記憶の中に閉じ込めてしまおう。
生欠伸で涙をごまかしながら、ルルーシュはそっと瞳を閉じた。
(終)
いきなり誰かに抱きつかれたルルーシュは、そのまま無理な姿勢で部屋へと引き込まれてバランスを崩した。
倒れずに済んだのは、横から伸びてきた腕が自分に抱きついた女性ごと支えてくれたからだ。
ルルーシュの視界を埋める細いうなじからは、ほのかなシャボンの香りと濃いシェリー酒の匂いが漂う。既に立っていることすら億劫なルルーシュにはその刺激は強すぎ、くらりとめまいがした。
「ルルーシュ、ミレイさんの言う通りだよ。こんなに遅くなるなら電話の一本ぐらい入れてほしかったな」
咎めるというよりは、心配していたという感情の滲んだ心地良い声に、素直な謝罪の言葉がルルーシュの口をついた。
「すまない。ちょっと…立て込んでいたんだ」
「そうか。じゃあ、とにかく座って」
「早くぅ!」
ライはそれ以上は尋ねることなく、ルルーシュからミレイを引き取り席を勧めてくれた。そのまま片腕でミレイを抱えると、カーディガンを羽織らせるべく奮闘をはじめる。ミレイが身じろぐ度にドレスのあちこちに入ったスリットから桜色に上気した肌が大胆にのぞいた。その色鮮やかな花柄のドレスに一層咲き誇るアネモネの花が、ルルーシュの目を惹きつける。
露出の激しい魔女との生活でそれなりに免疫の出来たルルーシュも、今日のミレイのパーティードレスは目のやり場に困る代物だった。何しろ面積と縫い代が極端に少ないのだ。
ライの頬もほんのりと赤く染まっている。感情が表に出にくい男だが、あれは酒のせいではないだろう。
その会長が持ち込んだのか、部屋の中央には壁に追いやられたダイニングセットの代わりに毛布のかかった低い箱机が鎮座している。
たしか…そうコタツという日本の暖房器具だ。
卓上のコンロからは良い匂いがただよい、ミカンの入ったカゴのとなりには色とりどりのお菓子の箱が山積みになっている。
その周りに、ボンボンチョコレートの包み紙と空き箱がいくつか転がっていた。ミレイの酔った原因に眉根を寄せたルルーシュだったが、仮に自分がこの場にいたとしてもミレイを止めることはできなかったという結論にたどり着き、それ以上考えることを止めた。
とりあえず嘘をつかずに済んだことにほっとしたが、まだ肝心な二人は顔さえ合わせていない。
ナナリ−はコタツへ足を入れ一心にミカンの皮を剥いていた。
かなり怒っているのだろう、ルルーシュには目もくれようとしない。自業自得なのだとわかっていても、疲れ切った心と体にその仕打ちは何よりも堪えた。
一体、どうしたら許してもらえるだろう。気持ちばかりが焦り何一つ言葉にできない。
霞がかかったような思考の中で、ルルーシュはライが今度は器用にクッションを使ってミレイを支えコタツへ座らせる様子をぼんやりと眺めた。コタツに落ち着いた途端ライに寄りかかってウトウトし始めたミレイは、まるでテレビドラマによく出てくる酔っ払って帰ってきた父親のようだ。
若干の呆れと可笑しな微笑ましさに、ルルーシュは思わず苦笑をもらした。
その時突然ナナリーに呼ばれた。
「お兄様、外は寒かったでしょう。早くこちらで足を温めてください」
慌ててルルーシュが顔を向けると、ナナリーはコタツの掛け布を持ち上げて待ってくれていた。それに吸い寄せられるようにして、ルルーシュはストンとナナリ−の隣に腰を降ろした。
「ナナリ−、すまない。今夜は一緒に食事すると約束していたのに…その、実は料理もまだ途中で」
「もう、お兄様! 一番先に言う言葉があるでしょう?」
怒っているというよりは呆れた様子のナナリーにルルーシュは面喰らった。
きっと拗ねた声で叱られるとおもっていたのに、すっかり大人になったナナリ−の成長が嬉しくもありさみしくもある。
どう答えていいかわからずただ妹の顔をまじまじと見つめ返したルルーシュに、ナナリーは剥き終わったばかりのミカンを皮で作った入れ物に乗せて差し出した。
「お兄様、新年おめでとうございます。これは私からの『お年玉』です」
「あ…ありがとうナナリ−。新年、おめでとう」
「おめでとう」
「おめでと〜ぅ!」
一通りの挨拶が終わり、ルルーシュがそろそろと足を伸ばすと爪先にふにゃりとした温かいものが触れた。
「ほわっ!」
「あっ、お兄様が当たりです!」
ナナリ−の嬉しそうな声に掛け布を持ち上げると、アーサーと目が合った。
にゃあ、とまるで挨拶のように鳴いたあと黒猫は頭をルルーシュの足の甲に載せて丸くなる。わずかな重みはほんのりと温かい。
「咲世子さん曰わく、冬の家族団らんはコタツにミカンが王道だそうだ」
「あと、猫もマストアイテムなんです!」
ライとナナリーの息の合った説明に軽い嫉妬を覚えて、ようやく調子を取り戻したルルーシュは一番の疑問を口にした。
「…お前がここにいるのはまだわかるんだが、どうして会長までいるんだ? いつもならニューイヤーはブリタニア本国の生家に帰るのに…それに咲世子はどうした?」
自分を棚に上げて詰問したルルーシュに気を悪くした様子もなく、ライは穏やかな笑みを浮かべて答えた。
「昨日の晩、ルルーシュが大慌てで出かけていくのが窓から見えたんだ。何だか胸騒ぎがして、ナナリーの様子を見に行こうとしたら、ちょうどミレイさんが来てくれた。だからここで一緒に君の帰りを待たせてもらうことにしたんだ。咲世子さんはついさっきアッシュフォードの屋敷の様子を見に戻ったよ」
するとミレイがトロンとした瞳をルルーシュへと向けてきた。
「だって、ライとナナちゃんにさみしいニューイヤーを迎えさせるなんて、できないじゃない。最近ルルちゃんはあてにならないから…おじい様にお願いして、私だけ日本に残ったのよ」
ミレイのおもいがけない言葉にルルーシュは目を見開いた。
ナナリーには咲世子が付いているし、少なくともライはさびしがるような年齢ではない。
ここにわざわざコタツや山盛りの菓子を持ち込んでまで、俺を一緒に待っていた理由がわからない。
ライは再び頬を染める。
「その…君には迷惑かもしれないけれど。記憶のない僕にとって、いつもそばにいてくれるルルーシュとナナリー、咲世子さんは本当に特別な人なんだ。だから僕はここで、君と一緒に新しい年を迎えたかった。みんなとルルーシュを待っていたかった。それにミレイさんは最初からコタツを用意してくれていて」
「もちろん! 私はライの、そしてナナちゃんとルルーシュの保護者ですから!」
ミレイは勢いよく両手を挙げてライに抱きつくと、そのまま後ろに倒れ込んだ。ライの声にならない悲鳴が漏れて、二人の姿はドサリという音と共にコタツの向こう側へと消えた。
ナナリーはその音に驚くこともなくクスクスと笑う。
「私…こんなに楽しいニューイヤーの晩は初めてです。お兄様を待っている間にゲームをしたり、おしゃべりをたくさんして…ずっとワクワクして、とても楽しくて。でもお兄様が帰ってきてくれたので、今が一番楽しいです!」
ニューイヤーを祝う習慣は、ブリタニアにはない。だから日本に来る前も年越しにこんな風に騒いだことはなかった。
時には母上がいない年もあった。その年はきょうだい2人で早々とベッドに潜り込んで、気が付いたら年が変わっていた…ルルーシュのニューイヤーの記憶といえばそのくらいだった。
本格的に眠ってしまったミレイをようやく寝かしつけたライは、起き上がるとコンロにかかっていたスープをルルーシュによそってくれた。
「咲世子さん特製の豚汁だ、体が温まるから飲むといい。咲世子さんは明日の朝に戻ってくることになっているから、そしたらみんなでおせち料理を食べよう」
峠を越した空腹感に胃が痛んだが、立ち上る湯気と香りがルルーシュの鼻腔を優しく撫でた。
ルルーシュの欲しかったものが、今目の前にある。
手に入れることに必死で奪うことしか考えられなかった。
いつの間にか、ギアスでしか人の心を思い通りにできないジレンマに苦しんでいた。
だから気が付かなかった。
ただ何の掛け値もなく、自分たちの存在を望んでくれる人がそばにいたことも、向けられていたまっすぐな愛情もーー今この瞬間まで理解してはいなかったのだ。
「お兄様?」
兄の感情の変化に敏い妹は心配そうな声を出す。
その声にルルーシュは冷えた指先でそっとナナリーの手に触れた。
「きゃっ、冷たい!」
「…ごめんよ、ナナリー。まだ体中がかじかんでいて…うまく、しゃべれそうにないんだ」
震える声をごまかしたくてそう言ったルルーシュの手を、ナナリーはきゅっと握り返した。
「…じゃあお兄様、早く温まって下さいね」
目の前のライは、見ているこちらが照れるほどの幸福そうな笑みを浮かべた。
「さぁ、冷めないうちにどうぞ」
ルルーシュは空いた方の手でマグカップを受け取った。指先に広がる温かさがもたらす痺れすら愛おしい。
己の選んだ道に後悔はなかった。
ブリタニアという世界を壊し、ナナリーが穏やかに暮らせる新しい世界を作るためならば、この先に待つ結末がどんなに惨めで残酷な終わりでも構わないとおもう。
そしてこれからも勝利を手にするために他人を、最後には自分自身もチェスの駒のように使い捨てるのだろうと確信していた。
それでも、もう考えずにはいられない。
明日も、その次の日もずっとずっとーー明日という1日を積み重ねていけば、またここで穏やかに新しい年を迎えられるのかもしれないと。
そんな馬鹿げたゼロに等しい可能性に、僅かな望みすら見いだそうとする自分の愚かさにルルーシュは唇を噛んだ。
俺には願うことすら許されはしない。だからこの願いは記憶の中に閉じ込めてしまおう。
生欠伸で涙をごまかしながら、ルルーシュはそっと瞳を閉じた。
(終)
ルルーシュは正門からクラブハウスまでの数百メートルの道のりを全速力で駆けていた。
既に顎は上がりきっており、呼吸も荒い。喉の奥では鉄の味がするし、足元からの振動はがんがんと疲れきったルルーシュの頭を揺らしてくる。
それでも立ち止まらなかったのは、一分一秒でも早く帰りたいとおもったからだ。
「はあ、はぁ……」
ようやく入り口へとたどり着くと、自分たちの部屋だけに明るい光が点っているのを確認する。
ニューイヤーの晩だ、ナナリーはきっと起きて待っていてくれているのだろう。もう小さな子どもではないが、兄としては身体に負担のかかる夜更かしをさせてしまったことに胸が痛む。
本当はもっと早い時間から2人だけで穏やかに新しい年を迎えるつもりだったのだ。
昨晩の夕方、玉城からの緊急連絡で呼び出されなければ。
携帯電話のディスプレイに浮かんだ名前を見て、一瞬ゼロが忘年会を断ったことに対する新手の勧誘かともおもったが、玉城はそういう意味では直球な男だ。だからルルーシュはわずかな逡巡のあと電話に出た。
トラブルの内容は通信エラーによってキョウトからの物資が届かないという単純なもので、そのスクランブル信号を解除できるのは暗号を作ったゼロ本人だけだった。自分の慎重さに足元をすくわれたことにルルーシュは内心で舌打ちした。
作りかけた料理の仕込みを中断し、日本のおせち料理にかかりきりだった咲世子に簡単な指示を出してから騎士団のアジトへと向かった。
ゼロである以上、ナナリーの願う優しい世界を叶えるためには目の前にある自分たちの小さな幸せは犠牲にせざるを得ない。
ルルーシュはとうに納得していた。たとえ何よりも大切なナナリーにさみしいおもいをさせたとしても、絶対的な世界を相手に反逆を起こしたゼロはもう引き返すことなどできないのだから。そのために他人の命すら奪うのが今の己の日常だ。
それでもできるだけ早く戻って来れるようにしたいとおもっていた。
日付けが変わる寸前にようやく届いた資材コンテナには、必要物資の他にも関西風の重箱料理が充分すぎるほどに詰まっていた。
キョウトからの使者は予定が遅れた関係で翌朝までは帰る足を失い、これだけの品物を貰っておきながらゼロだけがすごすごとどこかへ姿をくらますわけにも行かずーー結局使者の労いを兼ねた黒の騎士団の忘年会にも参加する羽目になったルルーシュは、気まぐれに様子を見に来たC.C.がピザ10枚で身替わりになってくれるまではクラブハウスへ戻ることができなかったのだ。
咲世子も元日は本国へ戻るアッシュフォード家の留守を預かるために屋敷へ戻ってしまう。ルルーシュが戻るまでは彼女がナナリーを1人にすることはないはずだが、それでも心もとない年越しになってしまったことだろう。
咲世子にもずいぶんと迷惑をかけてしまったが、今日はいつものようにもっともらしい言い訳をすることははばかられた。
新年早々口にする言葉が嘘というのはあまりにも不実とおもう。それが信頼する相手ならば尚更だ。
かといって事実を告げるわけにもいかない。
王の力を手にした契約の日から、ルルーシュの人生には仮面と枷がついてまわっている。己の心すら欺き続けた結果、それらはルルーシュの一部になってしまった。
だが謝るにしてもどう伝えればいいかがわからず、ピークをとうに超えた疲労に普段は高速回転するルルーシュの頭脳も相応しい言葉を選べなくなっていた。
時間は既に午前3時をまわっている。念のため、控えめにドアをノックしてから鍵を開けた。エントランスには電気はついているものの人の気配はない。だがルルーシュのためにつけてあった暖房の温もりが冷え切った身体をやさしく包んでくれた。
明日の朝は早めに起きて、ナナリ−の好きなフィッシュケーキとプルーンソースのポークソテーを熱々の状態でサーブしよう。切りのよいところまでの仕込みは咲世子に頼んでおいたので、そう手間取ることはないはずだ。
そんなことを考えていたら、ルルーシュは急に空腹感を覚えた。
そういえば夕方に味見をしたきり何も口にしていない。騎士団の面々の前で仮面を外して食事を取るわけにもいかず、豪華な重箱料理の数々は団員たちの胃袋にすべて収まってしまった。
とりあえずリビングに顔を出してから咲世子に雑煮でも頼もうかーールルーシュは、再び軽くノックしてから何も考えずにドアノブを回しリビングルームへと足を踏み入れた。
(続く) →2
既に顎は上がりきっており、呼吸も荒い。喉の奥では鉄の味がするし、足元からの振動はがんがんと疲れきったルルーシュの頭を揺らしてくる。
それでも立ち止まらなかったのは、一分一秒でも早く帰りたいとおもったからだ。
「はあ、はぁ……」
ようやく入り口へとたどり着くと、自分たちの部屋だけに明るい光が点っているのを確認する。
ニューイヤーの晩だ、ナナリーはきっと起きて待っていてくれているのだろう。もう小さな子どもではないが、兄としては身体に負担のかかる夜更かしをさせてしまったことに胸が痛む。
本当はもっと早い時間から2人だけで穏やかに新しい年を迎えるつもりだったのだ。
昨晩の夕方、玉城からの緊急連絡で呼び出されなければ。
携帯電話のディスプレイに浮かんだ名前を見て、一瞬ゼロが忘年会を断ったことに対する新手の勧誘かともおもったが、玉城はそういう意味では直球な男だ。だからルルーシュはわずかな逡巡のあと電話に出た。
トラブルの内容は通信エラーによってキョウトからの物資が届かないという単純なもので、そのスクランブル信号を解除できるのは暗号を作ったゼロ本人だけだった。自分の慎重さに足元をすくわれたことにルルーシュは内心で舌打ちした。
作りかけた料理の仕込みを中断し、日本のおせち料理にかかりきりだった咲世子に簡単な指示を出してから騎士団のアジトへと向かった。
ゼロである以上、ナナリーの願う優しい世界を叶えるためには目の前にある自分たちの小さな幸せは犠牲にせざるを得ない。
ルルーシュはとうに納得していた。たとえ何よりも大切なナナリーにさみしいおもいをさせたとしても、絶対的な世界を相手に反逆を起こしたゼロはもう引き返すことなどできないのだから。そのために他人の命すら奪うのが今の己の日常だ。
それでもできるだけ早く戻って来れるようにしたいとおもっていた。
日付けが変わる寸前にようやく届いた資材コンテナには、必要物資の他にも関西風の重箱料理が充分すぎるほどに詰まっていた。
キョウトからの使者は予定が遅れた関係で翌朝までは帰る足を失い、これだけの品物を貰っておきながらゼロだけがすごすごとどこかへ姿をくらますわけにも行かずーー結局使者の労いを兼ねた黒の騎士団の忘年会にも参加する羽目になったルルーシュは、気まぐれに様子を見に来たC.C.がピザ10枚で身替わりになってくれるまではクラブハウスへ戻ることができなかったのだ。
咲世子も元日は本国へ戻るアッシュフォード家の留守を預かるために屋敷へ戻ってしまう。ルルーシュが戻るまでは彼女がナナリーを1人にすることはないはずだが、それでも心もとない年越しになってしまったことだろう。
咲世子にもずいぶんと迷惑をかけてしまったが、今日はいつものようにもっともらしい言い訳をすることははばかられた。
新年早々口にする言葉が嘘というのはあまりにも不実とおもう。それが信頼する相手ならば尚更だ。
かといって事実を告げるわけにもいかない。
王の力を手にした契約の日から、ルルーシュの人生には仮面と枷がついてまわっている。己の心すら欺き続けた結果、それらはルルーシュの一部になってしまった。
だが謝るにしてもどう伝えればいいかがわからず、ピークをとうに超えた疲労に普段は高速回転するルルーシュの頭脳も相応しい言葉を選べなくなっていた。
時間は既に午前3時をまわっている。念のため、控えめにドアをノックしてから鍵を開けた。エントランスには電気はついているものの人の気配はない。だがルルーシュのためにつけてあった暖房の温もりが冷え切った身体をやさしく包んでくれた。
明日の朝は早めに起きて、ナナリ−の好きなフィッシュケーキとプルーンソースのポークソテーを熱々の状態でサーブしよう。切りのよいところまでの仕込みは咲世子に頼んでおいたので、そう手間取ることはないはずだ。
そんなことを考えていたら、ルルーシュは急に空腹感を覚えた。
そういえば夕方に味見をしたきり何も口にしていない。騎士団の面々の前で仮面を外して食事を取るわけにもいかず、豪華な重箱料理の数々は団員たちの胃袋にすべて収まってしまった。
とりあえずリビングに顔を出してから咲世子に雑煮でも頼もうかーールルーシュは、再び軽くノックしてから何も考えずにドアノブを回しリビングルームへと足を踏み入れた。
(続く) →2