LO/ST CO/LO/RSの創作S/S+ラクガキブログ。
白騎士コンビを贔屓ぎみですが主人公最愛・オールキャラと言い切ります!
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ルルーシュは正門からクラブハウスまでの数百メートルの道のりを全速力で駆けていた。
既に顎は上がりきっており、呼吸も荒い。喉の奥では鉄の味がするし、足元からの振動はがんがんと疲れきったルルーシュの頭を揺らしてくる。
それでも立ち止まらなかったのは、一分一秒でも早く帰りたいとおもったからだ。
「はあ、はぁ……」
ようやく入り口へとたどり着くと、自分たちの部屋だけに明るい光が点っているのを確認する。
ニューイヤーの晩だ、ナナリーはきっと起きて待っていてくれているのだろう。もう小さな子どもではないが、兄としては身体に負担のかかる夜更かしをさせてしまったことに胸が痛む。
本当はもっと早い時間から2人だけで穏やかに新しい年を迎えるつもりだったのだ。
昨晩の夕方、玉城からの緊急連絡で呼び出されなければ。
携帯電話のディスプレイに浮かんだ名前を見て、一瞬ゼロが忘年会を断ったことに対する新手の勧誘かともおもったが、玉城はそういう意味では直球な男だ。だからルルーシュはわずかな逡巡のあと電話に出た。
トラブルの内容は通信エラーによってキョウトからの物資が届かないという単純なもので、そのスクランブル信号を解除できるのは暗号を作ったゼロ本人だけだった。自分の慎重さに足元をすくわれたことにルルーシュは内心で舌打ちした。
作りかけた料理の仕込みを中断し、日本のおせち料理にかかりきりだった咲世子に簡単な指示を出してから騎士団のアジトへと向かった。
ゼロである以上、ナナリーの願う優しい世界を叶えるためには目の前にある自分たちの小さな幸せは犠牲にせざるを得ない。
ルルーシュはとうに納得していた。たとえ何よりも大切なナナリーにさみしいおもいをさせたとしても、絶対的な世界を相手に反逆を起こしたゼロはもう引き返すことなどできないのだから。そのために他人の命すら奪うのが今の己の日常だ。
それでもできるだけ早く戻って来れるようにしたいとおもっていた。
日付けが変わる寸前にようやく届いた資材コンテナには、必要物資の他にも関西風の重箱料理が充分すぎるほどに詰まっていた。
キョウトからの使者は予定が遅れた関係で翌朝までは帰る足を失い、これだけの品物を貰っておきながらゼロだけがすごすごとどこかへ姿をくらますわけにも行かずーー結局使者の労いを兼ねた黒の騎士団の忘年会にも参加する羽目になったルルーシュは、気まぐれに様子を見に来たC.C.がピザ10枚で身替わりになってくれるまではクラブハウスへ戻ることができなかったのだ。
咲世子も元日は本国へ戻るアッシュフォード家の留守を預かるために屋敷へ戻ってしまう。ルルーシュが戻るまでは彼女がナナリーを1人にすることはないはずだが、それでも心もとない年越しになってしまったことだろう。
咲世子にもずいぶんと迷惑をかけてしまったが、今日はいつものようにもっともらしい言い訳をすることははばかられた。
新年早々口にする言葉が嘘というのはあまりにも不実とおもう。それが信頼する相手ならば尚更だ。
かといって事実を告げるわけにもいかない。
王の力を手にした契約の日から、ルルーシュの人生には仮面と枷がついてまわっている。己の心すら欺き続けた結果、それらはルルーシュの一部になってしまった。
だが謝るにしてもどう伝えればいいかがわからず、ピークをとうに超えた疲労に普段は高速回転するルルーシュの頭脳も相応しい言葉を選べなくなっていた。
時間は既に午前3時をまわっている。念のため、控えめにドアをノックしてから鍵を開けた。エントランスには電気はついているものの人の気配はない。だがルルーシュのためにつけてあった暖房の温もりが冷え切った身体をやさしく包んでくれた。
明日の朝は早めに起きて、ナナリ−の好きなフィッシュケーキとプルーンソースのポークソテーを熱々の状態でサーブしよう。切りのよいところまでの仕込みは咲世子に頼んでおいたので、そう手間取ることはないはずだ。
そんなことを考えていたら、ルルーシュは急に空腹感を覚えた。
そういえば夕方に味見をしたきり何も口にしていない。騎士団の面々の前で仮面を外して食事を取るわけにもいかず、豪華な重箱料理の数々は団員たちの胃袋にすべて収まってしまった。
とりあえずリビングに顔を出してから咲世子に雑煮でも頼もうかーールルーシュは、再び軽くノックしてから何も考えずにドアノブを回しリビングルームへと足を踏み入れた。
(続く) →2
既に顎は上がりきっており、呼吸も荒い。喉の奥では鉄の味がするし、足元からの振動はがんがんと疲れきったルルーシュの頭を揺らしてくる。
それでも立ち止まらなかったのは、一分一秒でも早く帰りたいとおもったからだ。
「はあ、はぁ……」
ようやく入り口へとたどり着くと、自分たちの部屋だけに明るい光が点っているのを確認する。
ニューイヤーの晩だ、ナナリーはきっと起きて待っていてくれているのだろう。もう小さな子どもではないが、兄としては身体に負担のかかる夜更かしをさせてしまったことに胸が痛む。
本当はもっと早い時間から2人だけで穏やかに新しい年を迎えるつもりだったのだ。
昨晩の夕方、玉城からの緊急連絡で呼び出されなければ。
携帯電話のディスプレイに浮かんだ名前を見て、一瞬ゼロが忘年会を断ったことに対する新手の勧誘かともおもったが、玉城はそういう意味では直球な男だ。だからルルーシュはわずかな逡巡のあと電話に出た。
トラブルの内容は通信エラーによってキョウトからの物資が届かないという単純なもので、そのスクランブル信号を解除できるのは暗号を作ったゼロ本人だけだった。自分の慎重さに足元をすくわれたことにルルーシュは内心で舌打ちした。
作りかけた料理の仕込みを中断し、日本のおせち料理にかかりきりだった咲世子に簡単な指示を出してから騎士団のアジトへと向かった。
ゼロである以上、ナナリーの願う優しい世界を叶えるためには目の前にある自分たちの小さな幸せは犠牲にせざるを得ない。
ルルーシュはとうに納得していた。たとえ何よりも大切なナナリーにさみしいおもいをさせたとしても、絶対的な世界を相手に反逆を起こしたゼロはもう引き返すことなどできないのだから。そのために他人の命すら奪うのが今の己の日常だ。
それでもできるだけ早く戻って来れるようにしたいとおもっていた。
日付けが変わる寸前にようやく届いた資材コンテナには、必要物資の他にも関西風の重箱料理が充分すぎるほどに詰まっていた。
キョウトからの使者は予定が遅れた関係で翌朝までは帰る足を失い、これだけの品物を貰っておきながらゼロだけがすごすごとどこかへ姿をくらますわけにも行かずーー結局使者の労いを兼ねた黒の騎士団の忘年会にも参加する羽目になったルルーシュは、気まぐれに様子を見に来たC.C.がピザ10枚で身替わりになってくれるまではクラブハウスへ戻ることができなかったのだ。
咲世子も元日は本国へ戻るアッシュフォード家の留守を預かるために屋敷へ戻ってしまう。ルルーシュが戻るまでは彼女がナナリーを1人にすることはないはずだが、それでも心もとない年越しになってしまったことだろう。
咲世子にもずいぶんと迷惑をかけてしまったが、今日はいつものようにもっともらしい言い訳をすることははばかられた。
新年早々口にする言葉が嘘というのはあまりにも不実とおもう。それが信頼する相手ならば尚更だ。
かといって事実を告げるわけにもいかない。
王の力を手にした契約の日から、ルルーシュの人生には仮面と枷がついてまわっている。己の心すら欺き続けた結果、それらはルルーシュの一部になってしまった。
だが謝るにしてもどう伝えればいいかがわからず、ピークをとうに超えた疲労に普段は高速回転するルルーシュの頭脳も相応しい言葉を選べなくなっていた。
時間は既に午前3時をまわっている。念のため、控えめにドアをノックしてから鍵を開けた。エントランスには電気はついているものの人の気配はない。だがルルーシュのためにつけてあった暖房の温もりが冷え切った身体をやさしく包んでくれた。
明日の朝は早めに起きて、ナナリ−の好きなフィッシュケーキとプルーンソースのポークソテーを熱々の状態でサーブしよう。切りのよいところまでの仕込みは咲世子に頼んでおいたので、そう手間取ることはないはずだ。
そんなことを考えていたら、ルルーシュは急に空腹感を覚えた。
そういえば夕方に味見をしたきり何も口にしていない。騎士団の面々の前で仮面を外して食事を取るわけにもいかず、豪華な重箱料理の数々は団員たちの胃袋にすべて収まってしまった。
とりあえずリビングに顔を出してから咲世子に雑煮でも頼もうかーールルーシュは、再び軽くノックしてから何も考えずにドアノブを回しリビングルームへと足を踏み入れた。
(続く) →2
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