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午後に開かれたお茶会の一コマ。本当は暴走している特派ED後妄想なので、興味を持っていただいた方向けに拍手ボタンに格納しようかとおもったのですが…。結局通常SSに。5年後までぽつぽつとネタが続いてます。自分の特派へのハマり様が怖いですorz
うちのPSP準拠(スザクもユフィも主人公大好き設定)です。
個人的にはスザクの好きは限りなく恋に近くて、ユフィの好きは愛に近い気がします。
よろしかったら続きを読むからお入り下さい。
うらうらとした午後の陽射しが、一面ガラス張りの執務室にやさしく射し込んでいる。パノラマの正面に富士山があるここからの眺めが、ユーフェミアはお気に入りだ。
セシルが焼き菓子を分けてくれている間に、ユーフェミアは紅茶を用意する。ブリタニア皇室御用達のこのブランドの紅茶は、特区日本代表に着任してからも切らしたことがない。
本国がさほど恋しいわけではないけれど。
子どもの頃から親しんだ味は口に馴染んでいて、どんなに疲れていてもこれを飲むとちょっぴり元気になれる。
だから、今日みたいな日にぴったりなお茶だ。
ティーコージーを外して、茶葉の開き具合を確認する。
「ああ、いい匂い!」
おもわず口にした言葉に、お盆を手にしたセシルが振り向いて微笑んだ。
「ええ本当に。あ、そろそろ男性陣が戻ってくる時間ですね」
ユーフェミアは大きなガラスのピッチャーにロックアイスをいくつか落すと、そこに勢いよくポットの紅茶を注いだ。きっと外は暑かっただろうから、1杯目にはアイスティーを用意する。
新型ナイトメアの試乗テストは、このお茶会を提案しなければおそらく日没まで続けられていたのだろう。
しかしさすがのロイド伯爵も、殿下直々の誘いと自分の研究欲を天秤にかければ、前者を優先させるだけの良心は持ち合わせていたようで、今日のところは早々に切り上げられたのだった。
壁の時計はもうすぐ3時半になろうとしている。
大慌てでシャワーを浴び着替えているであろうスザクたちのことをふと考えると、ユーフェミアは何だか可笑しくなってしまった。
大丈夫ですよ…私たちも、お菓子も紅茶もちゃんと待っていますから。
そんなことを考えた瞬間、お待たせしましたー!というのんびりとしたロイドの声と、遅くなって申し訳ありませんというぴったりと重なったスザクたちの声が部屋いっぱいに響いて、みんなで大笑いをした。
こんな楽しい時間が、ずっとずっと続けばいいのに。
ユーフェミアは屈託のないスザクの笑顔を見て、少しだけちりちりとする胸にそっと手のひらを重ねた。
久しぶりに食べるブリタニアのお菓子はとても美味しい。ユーフェミアの頬も自然と緩んだ。
「キャメロットで空輸なんて滅多にない機会だったので、半生菓子をリクエストしたのは正解でした!」
フォークを握りしめて力強く宣言した皇女殿下の言葉に、最初はプリンがないことにがっかりしていたロイドでさえ頷き同意した。
美味しいお菓子は人を笑顔にするっていう言葉は何処の国の言葉だったかしらと、ユーフェミアはやはり笑顔で話が弾んでいる特派の三人をちらりと見やる。
すぐに彼らはその視線に気付くと話題を変えて、最近ではユーフェミアがなかなか行けなくなった市街地の様子を話して聴かせてくれた。身振り手振りを交えて話すロイド伯爵と、絶妙な相づちと補足を折り交ぜるセシルのやり取りについ身を乗り出してしまったユーフェミアは隣に座っていたスザクにとうとうたしなめられてしまった。
「殿下、どうかご自身の椅子にお掛け下さい。もう少しでドレスの袖元がカップの中へ入る所でした」
頬を赤らめながらもユーフェミアはスザクに言い返す。
「まあスザク、ちょうどお代わりを入れるのに立ち上がるところだったのですよ?それに…そういうことはこっそり言いなさい。今の言い方では私がまるで小さな子どもみたいです」
「あっ…!その、申し訳ありません!自分はただ…」
しどろもどろになって必死に謝るスザクを横目に、ユーフェミアは立ち上がると紅茶を淹れるためにサイドテーブルへと向かった。
スザクの言ったことは本当のことなので(もし今ここにお姉様がいたら私もスザクもひどく叱られる)、皇族らしからぬ振る舞いを恥じながらも、まだ熱の引かない赤い顔をスザクに見られたくなくて、ユーフェミアは額にかかった髪に手をやり片頬を隠した。
(続く)→2