LO/ST CO/LO/RSの創作S/S+ラクガキブログ。
白騎士コンビを贔屓ぎみですが主人公最愛・オールキャラと言い切ります!
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ブリタニア軍人編、ライは自分の外見にコンプレックスがあるんじゃないかという妄想。
全部書き上がったら、pixivにあげようとおもっています。
拍手ボタンを押して下さった皆様、本当にありがとうございました。
私がお返しできるのは思念波と作品だとおもうので、今月は更新がんばります。
そして社内報の原稿ノルマ3本のうち1本しか終わっていないという罠
全部書き上がったら、pixivにあげようとおもっています。
拍手ボタンを押して下さった皆様、本当にありがとうございました。
私がお返しできるのは思念波と作品だとおもうので、今月は更新がんばります。
そして社内報の原稿ノルマ3本のうち1本しか終わっていないという罠
気が付くと、ライはクラブハウスの前までやってきていた。
どこでコーヒーカップを始末したのかも覚えていなかった。手は濡れていないし、服にもコーヒーのシミがないところをみると、無意識のうちに給湯室で処理したのだろう。
この身体は、本人の意思のコントロールがなくても最善の行動を取るように作られているらしい。おもわず口元に浮かんだ自嘲の笑みすら、ライには感情とは切り離された脊髄反射のようにおもえた。
アッシュフォード学園にきて間もない頃、身元照会の手がかりになればと、スザクに連れられて特派でボディチェックを受けた。
ライの身体は、人為的に強化されている。わざと切断し強化された、骨や腱。身体の大部分を占める表皮ですら、人の手が加えられたものだ。
ロイドとセシルは、ライだけにその事実を教えてくれた。残念ながら、ライの記憶を辿る手がかりには繋がってはいないけれど。
あれから様々な経緯を経て、今ライは正規のIDを持ったブリタニア軍人として生活をしている。軍に対して感じる言いようのない不信感は消えないが、ライは己の感情よりも、スザクを身近で支えられる立場を選んだ。
そのことに後悔はない。これからもできる限り、スザクの力になりたいとおもっている。でも、スザクから外見——特に顔のことを褒められるのは嫌だった。
もしもこの顔でなかったとしたら、スザクはライを気にかけてくれることはなかったのだろうか。
租界の公園で、軍服姿のスザクに声をかけられたときのことを思い出す。ビルに写るニュースの画面を見つめていたライを、放っておけなかったと言ったスザクの顔は、どんな表情だったろうか。もうよく思い出せなかった。
ライの顔は、よく人形のようだと言われる。最初はほとんど表情が変化しなかったからで、今はきめの細かい肌がビスクドールのようだからと。
ライ自身もそうおもっている。それは周りの人間が言うような意味ではなく、「人によって作られた形」という言葉そのものの意味だ。
表情が乏しいのは、感情を取り戻した今でも変わらない。おそらく、顔の筋肉と皮膚の定着に問題があるのだろう。輪郭だってそうだ。10代後半にもかかわらず、噛み合わせの癖の影響も受けずに左右対象をしたライの顎には、レントゲン写真では細いセラミックワイヤーの影がはっきりと写っている。
地のパーツはライ自身のものだが、人から容姿を褒められる度にライの中には黒い感情の澱が降り積もっていく。
ここまで来てしまった以上、自室で何か口に入れてから戻ろう。ロイドには忘れ物を取りに行ったということにして、非礼を詫びよう。自室前の廊下を歩きながら、ライは軍服の胸ポケットから携帯電話を取り出す。
「…ライさん?」
突然扉の向こうからした声に、ライはおもわず足を止めた。
「ナナリー?」
すると、目の前のドアがゆっくりと開かれ、中からメイドの咲世子が顔を出した。咲世子の後ろでは、胸元で手を握り合わせたナナリーが微笑んでいた。
「ライさん、今日はもうお仕事は終わりですか?」
昼休みにクラブハウスに戻ってきたことのなかったライは、一瞬言いよどんだ。
「ライ様、よろしかったらサンドイッチをご一緒しませんか。ちょうど今、飲み物の用意をしていたところでございます」
かすかに香るアールグレイの香りと、瑞々しいイチゴの芳香がライの鼻孔をくすぐった。
「いえ、ちょっと忘れ物を取りに来ただけなので…すぐに戻らないと」
だがまるでライの代わりに返事をするように、ライの腹が「ぐぅ」と正直に鳴った。身体にとっては最善の行動なのかもしれないが、かっと頬に熱が溜まる。
まあと口元に手をやり微笑んだ咲世子と、両頬に手を当てて、おそらくライよりも赤い顔をしているナナリー。その姿に、少しささくれていたライの心が癒されていく。
2人を交互に見やると、ライはよろしくお願いしますと頭を下げた。
(続く)
どこでコーヒーカップを始末したのかも覚えていなかった。手は濡れていないし、服にもコーヒーのシミがないところをみると、無意識のうちに給湯室で処理したのだろう。
この身体は、本人の意思のコントロールがなくても最善の行動を取るように作られているらしい。おもわず口元に浮かんだ自嘲の笑みすら、ライには感情とは切り離された脊髄反射のようにおもえた。
アッシュフォード学園にきて間もない頃、身元照会の手がかりになればと、スザクに連れられて特派でボディチェックを受けた。
ライの身体は、人為的に強化されている。わざと切断し強化された、骨や腱。身体の大部分を占める表皮ですら、人の手が加えられたものだ。
ロイドとセシルは、ライだけにその事実を教えてくれた。残念ながら、ライの記憶を辿る手がかりには繋がってはいないけれど。
あれから様々な経緯を経て、今ライは正規のIDを持ったブリタニア軍人として生活をしている。軍に対して感じる言いようのない不信感は消えないが、ライは己の感情よりも、スザクを身近で支えられる立場を選んだ。
そのことに後悔はない。これからもできる限り、スザクの力になりたいとおもっている。でも、スザクから外見——特に顔のことを褒められるのは嫌だった。
もしもこの顔でなかったとしたら、スザクはライを気にかけてくれることはなかったのだろうか。
租界の公園で、軍服姿のスザクに声をかけられたときのことを思い出す。ビルに写るニュースの画面を見つめていたライを、放っておけなかったと言ったスザクの顔は、どんな表情だったろうか。もうよく思い出せなかった。
ライの顔は、よく人形のようだと言われる。最初はほとんど表情が変化しなかったからで、今はきめの細かい肌がビスクドールのようだからと。
ライ自身もそうおもっている。それは周りの人間が言うような意味ではなく、「人によって作られた形」という言葉そのものの意味だ。
表情が乏しいのは、感情を取り戻した今でも変わらない。おそらく、顔の筋肉と皮膚の定着に問題があるのだろう。輪郭だってそうだ。10代後半にもかかわらず、噛み合わせの癖の影響も受けずに左右対象をしたライの顎には、レントゲン写真では細いセラミックワイヤーの影がはっきりと写っている。
地のパーツはライ自身のものだが、人から容姿を褒められる度にライの中には黒い感情の澱が降り積もっていく。
ここまで来てしまった以上、自室で何か口に入れてから戻ろう。ロイドには忘れ物を取りに行ったということにして、非礼を詫びよう。自室前の廊下を歩きながら、ライは軍服の胸ポケットから携帯電話を取り出す。
「…ライさん?」
突然扉の向こうからした声に、ライはおもわず足を止めた。
「ナナリー?」
すると、目の前のドアがゆっくりと開かれ、中からメイドの咲世子が顔を出した。咲世子の後ろでは、胸元で手を握り合わせたナナリーが微笑んでいた。
「ライさん、今日はもうお仕事は終わりですか?」
昼休みにクラブハウスに戻ってきたことのなかったライは、一瞬言いよどんだ。
「ライ様、よろしかったらサンドイッチをご一緒しませんか。ちょうど今、飲み物の用意をしていたところでございます」
かすかに香るアールグレイの香りと、瑞々しいイチゴの芳香がライの鼻孔をくすぐった。
「いえ、ちょっと忘れ物を取りに来ただけなので…すぐに戻らないと」
だがまるでライの代わりに返事をするように、ライの腹が「ぐぅ」と正直に鳴った。身体にとっては最善の行動なのかもしれないが、かっと頬に熱が溜まる。
まあと口元に手をやり微笑んだ咲世子と、両頬に手を当てて、おそらくライよりも赤い顔をしているナナリー。その姿に、少しささくれていたライの心が癒されていく。
2人を交互に見やると、ライはよろしくお願いしますと頭を下げた。
(続く)
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