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LO/ST CO/LO/RSの創作S/S+ラクガキブログ。 白騎士コンビを贔屓ぎみですが主人公最愛・オールキャラと言い切ります!
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方向音痴な私ですが何故かよく人に道を訊ねられます…しかも外国人の方の比率が高い。どうみてもしゃべれそうには見えないはずなのに、何故。
昨日も聞かれたのですが、本当にしょぼい説明しかできずにああ英語勉強しておけばよかった!放置プレイの英語漬けやらなきゃ!とおもいます。
あ、ちなみに私が人に道を訊ねる回数も同じぐらいです……むむ、Give&Takeなのかも。


久しぶりの更新は白の騎士アンソロジーと同タイトルですが、内容は全く関係ありません。
大分前に書いた紙ベースからのサルベージです。

特派ルートスザクED前提、主人公の記憶は戻っています。たしか当時、王の記憶を持った主人公を描いてみたかったような。

潜在的に庇護欲のあるスザクと、本来守られるべき立場にいながら守護する立場で在り続けた王様。
かみ合うようでかみ合わない、でもそこにスザクと主人公自身も気付かなかった救いがあればいいなという妄想です(日課)。

余談ですがアンソロジーでは主人公の名前をライにしていたので、サイトでもライにしちゃおうかなーとちょっぴりおもいはじめています。
名前を出さないで書くと表現に制限がかかるので…でもそれは私の文章力の所為でもあるのですがorz

※冒頭から全般にわたり流血表現有りなので、苦手な方はご注意下さい。


「僕は天使なんかじゃないよ」

彼の言葉の続きを遮るように早口で言いきった。
さっきの模擬戦で切れてしまった口内には血が溜まってきていて、危うく口端からこぼしそうになる。目の前にいる彼に気づかれないようにそれを唾液と一緒に飲み込むと、喉まで回った血の味に胸がむかむかした。
彼は少しだけ目を見開くと、その後何度かゆっくりとまばたきをした。暗い銀色をした睫毛の隙間から、サファイアブルーの瞳が見え隠れする。
綺麗な色だ。言葉にはしなかったけれど僕はその青に見惚れた。
心のすべてを見透かしているような目をした彼は本当に整った容姿をしているから、言われた言葉でよほど彼の方が天使みたいだとおもう。
ぼんやりと顔を眺めていると彼はああと小さく呟き、途端にくしゃりと表情を崩した。

「違うんだスザク、僕は−−“Be an Angel”、『お願いだから』という意味で言ったんだ。ほら、日本語にもあるだろう?今のは決まった言い回しなんだよ」

その言葉で僕は我に返った。

「えっ…そうなんだ、ごめん!……何だか僕、君にすごく恥ずかしいことを言ってしまったね」

恥ずかしい。できることなら今すぐにここから逃げ出してしまいたい。
でもここはセンダイゲットーの外れにあるKMFの仮設格納庫で、周りには廃墟以外何もない。目の前に広がった荒れ地のそこら中には不発弾が落ちており、生身の人間にはただ歩くだけでもかなりの危険が伴う。
そこでつい先ほどまで本国のサザ−ランドとの模擬戦を行なっていた僕らにはシャワーを浴びることすら許されず、夜に特派のトレーラーが迎えに来るまではこの格納庫でおとなしく待っていることしかできない。
水道も電気もないこの場所で、他に行き場もない以上もう誤魔化しようがなかった。
それでも僕はせめてもの抵抗に彼から目を逸らした。
視界の隅で手袋を外すのが見えると、そのまま彼は僕の頬に指先だけで触れてきた。ぴりっとした痛覚が口の中に走り、反射的にその手を跳ね除けてしまう。

「あっ、ごめ…っ!?」

僕がわずかに唇を開いた次の瞬間には、彼の長い指が口の中へとねじ込まれていた。

突然の異物感に溜まらず咳込み、堪えていたものが隙間から漏れた。
容赦なく舌を押さえこまれたことで僕の口からは唾液で薄まった赤い血がたらたらと流れては格納庫の床へと染みを作る。最終的に胃に落ち込みかけていた血の塊を吐き出すと、ようやく彼の指は僕の口から引き抜かれた。
僕は咳込みながらも彼の顔を睨みつけた。

「はっ……急に…何をっ」

彫像のように表情の抜け落ちた顔。その指先は薄赤く染まり、白いパイロットスーツのあちこちには僕の血が飛んでいる。
その異様な姿に責める言葉すらなくして僕はただ彼の目を見つめ返した。そこには何の感情もなかった。まるで出会った頃のように。

「僕の騎士も……よくスザクのように怪我をごまかそうとしていたんだ」

唇だけをわずかに動かし彼が呟く。

「君にもやっぱり…専任騎士がいたんだね」
「ああ、ブリタニアの騎士制度とは大分違うものだが。しかし、今問題なのはそこじゃないだろう…」

半ば呆れたような声で彼に咎められる。でも無表情のままだから、そのアンバランスさが余計に彼自身を危うく感じさせる。
本当に…大丈夫なんだろうか。

「あ…うん。そうなんだけど。それよりもごめん、君にずいぶん血をつけてしまった」
「こんなのは何でもない。君はそうやってすぐ僕のことを気にかけてくれるけれど……お願いだから、もう少し自分のことも大事にしてくれないか。どうして1人で全部抱え込もうとするんだ。痛いなら、痛いと口に出せばいい。僕は君の相棒なんだから、僕にまで虚勢を張るのは止めてくれ」
「…ごめん」
「もう謝らなくていい」

ふっと緩められた眼差しにようやく感情の欠片が宿る。それでもまだどこかぎこちない様子で、彼は赤く染まってしまった自らの手へと視線を落とした。


『この手はかつて数えきれぬほどの命を奪い、乾く間もない程血に濡れていたんだ』


記憶が戻ったことを打ち明けてくれた時に聞いた、王でありながら最前線に立ち剣を振るっていたという彼の過去。詳しくは知らない。
でも、彼には騎士がいた。生涯をかけて主を守ると誓いを立てた、彼の剣であり盾となった人物が。

「一つだけ…教えてくれないか」
「何だ?」
「君のーー君の騎士は、君を守って死んだのかい」

その本懐を遂げて、ただ主の為に。

彼の瞳には感情の揺らぎはなかった。でもその視線はどこか遠くを見つめているようで、すぐ目の前にいた誰かを思い浮かべているようでもあった。

「ーー彼らは」

彼はそこで一旦言葉を切ると俯いた。その時初めて、自分がどんなに残酷なことを訊ねてしまったのかに気付いた。

「彼らは…僕のせいで死んだ。僕の命令を守るために、その命を投げ出して最後まで戦った。王としてではなく、僕自身にとってもかけがえのない存在だったのに、」
「ごめん」

皆まで言わせないように彼の両腕を強く引いて抱き締めた。

「スザク…」
「もう聞かないよ。君の過去を、いつか君自身が話したくなった時が来たら…その時に聞くから」
「でも、僕は」
「だけどこれだけは覚えていて。僕は死なない。君を残しては逝かない。今の君は王様じゃなくて僕の相棒だから、たとえこの先何が起きても…僕は2人で生き残るために最後まで戦うよ」

吐息と一緒に吐き出された言葉は聞き取れなかったけれど、彼は声を出さずに泣いていた。その纏っている空気が僕のよく知る優しいものに戻るまで、僕はずっと彼の背中を擦っていた。
華奢で骨張った肉の薄い身体は今にも壊れてしまいそうで。
でもそれ以上に、彼の心が壊れてしまいそうで怖かった。


『お願いだからーー……』

心の中だけでそっと願った僕の望みは、いつか彼に伝えることができるだろうか。

肩口に感じた湿った感触が冷たいものに変わる頃には、ゲットーの空には一番星が瞬いていた。

(終)
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