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LO/ST CO/LO/RSの創作S/S+ラクガキブログ。 白騎士コンビを贔屓ぎみですが主人公最愛・オールキャラと言い切ります!
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『あと少し、もう少しだけ』(ルルナナ×主人公:別名「二人は主人公の嫁になればいいんじゃないか」という妄想SS)





今日の授業をサボれば体育の単位は取れないとわかっていたのに、俺は一つ前の物理の授業終了のチャイムと同時に、迷うことなくリヴァルを巻いて屋上へとやってきていた。
どうせ呼び出されるなら、次のチャイムが鳴るまではここでこうして風に吹かれていたい。

陽の光でほどよく温められた屋上のコンクリート、そのわずかな日陰に寝そべって本を読んでいたはずがいつの間にか俺は夢を見ていた。
頭は目覚めている、だがどうしても瞼を開けることができない。
ここが学園の屋上だとわかっていながら、世界に俺だけしか居なくなったような不思議な感覚。

あと少し、もう少しだけ。何も考えないでまどろんでいたかった。
だが確実に頂へと昇っていく太陽は俺から日陰を奪い、3月とはいえその熱が頬を焼く感覚に眉根を寄せた時だった。


ふっと、光に赤く透けていた瞼に再び闇が訪れる。
 

「ルルーシュ」

男のくせに、俺を甘い声で呼ぶ。
意思を持って重い瞼をこじ開ければ、相変わらずの至近距離で俺の顔をのぞきこんでいるナナリーの騎士がいた。

「…何をしに来たんだお前は。まだ…授業中だろう」

ぱちぱちとアーモンド型のつり上がった青い瞳を瞬かせると、奴は心底不思議そうな顔をした。

「ルルーシュ、僕たちを待っててくれたんじゃなかったの?」
「ナナリーもいるのか?待ってたって……俺はただ−−−」

重たい腕をコンクリートに付いて、何とか上半身を起こす。
俺の上から身体をどかした彼は、アッシュフォード学園の制服ではなくまるで結婚式の花婿のような純白のタキシードを着ていた。

「その格好はなんだ。また会長のイベントか?」
「うん、イベントなのは間違いないけどミレイさんは関係ないよ。ルルーシュと、僕と、ナナリーのための大切な式だからね」


さあ、僕の手をとって。


彼は左手を胸に添え、まっすぐに右手を俺に差し出してくる。
逆光にプラチナブロンドの髪はきらきらと輝き、影になっても損なわれることのない美しい微笑み。
俺よりずっと王子という形容詞が板に付いているような−−−
だがいのちよりも大切なナナリーを任せたそんな男の手を、俺はしぶしぶとった。

 
次の瞬間にはおもいもよらない力でぐっと抱き寄せられて、俺の視界はぐるりと回転する。
眩しい太陽、雲一つない青空、そして最後に俺の瞳に映ったのは、真摯な光を宿した彼のサファイアブルーの瞳だった。

「ルルーシュ、行こう…ナナリーが待ってる。僕は、生涯をかけてナナリーと君を愛し守り抜くことを誓おう」


その言葉に俺の思考は完全に停止した。
そしてよろける俺を支えるようにして、彼は俺の腰に手を回して立たせた。

視界の先では、純白のベールを被り大小二つのブーケを片手にウエディングドレスを纏ったナナリーが、こちらに向かって手を振っているのが見えた。
車椅子には座っているものの、俺と同じアメジストの瞳がまっすぐにこちらを見つめている。

「お兄様!早く早く!」

頬を薔薇色に染め、歓喜と興奮に大きな目を潤ませて。
そのあり得ない光景に、俺はこれがすべてまだ夢の中の出来事なのだと悲しいほどに自覚する。


ナナリーがいて、俺がいて、そしてこいつがとなりで笑っている世界。
欲しいものはただそれだけなのに、 俺の瞳に赤い鳥が羽ばたく度に、誰かのいのちと共にその世界はどんどんと遠ざかっていく。

自分を支える硬い腕をぐっと掴むと、俺はすがるようなおもいで言った。

「なあ、お前は本当に俺を−−−」



 

 


ルルーシュの頬を、ひとすじの涙が流れた。
その涙をそっとハンカチで拭うと、僕は彼の黒髪をゆっくりと撫でた。

 
「お兄様−−−何か悲しい夢でも見ているのでしょうか?」


不安げに問うナナリーの髪に、僕は反対の手の指先をそっと絡めて答える。

「うん、そこが難しいところなんだ。こんな風に人が近くにいるのにまだ熟睡してるっていうのは、ルルーシュには珍しいからね。
もう少しだけ、眠らせてあげたい気もするんだ」

その言葉にナナリーも微笑む。

「そうですね、まだお昼休みは半分以上残っていますから。お兄様がお目覚めになるまで、もう少しだけ……こうしてお話ししていたいです」

僕はナナリーが預けてくれた心地よい重みを肩に感じながら、もう一度ルルーシュの寝顔を見た。
ああ、なんてしあわせなんだろう。
君がいて、ナナリーがいて、そして僕がいる。


ナナリーとゆっくり話すためにわざわざ屋上まできたのに、君が待ち伏せしていたのかと一瞬焦ったけれど−−−
君の貴重な寝顔を見ていたら、何だかすごく嬉しくなった。
いつの間にか、3人でいることが当たり前の日常になってしまっている。

何より君を大事におもうナナリーを、僕は好きになったんだ。
だから僕にとってもルルーシュは本当に大切なひとだし、君の笑顔も僕は守りたいとおもう。

周りに何を言われてもいいから、いつまでも3人で一緒に笑って暮らしたい。
君の返事が恐くって、まだとてもその願いは口にはできないけれど−−−

 
ねえルルーシュ、だから今だけは。
あと少し、もう少しだけ。

僕は二人の陽に暖められた柔らかな髪に触れたまま、そっと瞳を閉じた。

 
(終)
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