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LO/ST CO/LO/RSの創作S/S+ラクガキブログ。 白騎士コンビを贔屓ぎみですが主人公最愛・オールキャラと言い切ります!
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『After imprinting』(スザクとルルーシュ:特派ルートのどこか)




昔僕の幼なじみは、自他共に認めるシスコンだった。

妹のナナリーのことを第一に考えて生きる姿、その愛情と執着は、遥か異国で人質として生きる孤独なきょうだい愛という一言で括るにはあまりに濃いものだった。
だけど僕はそんなルルーシュとナナリーをこころから大切におもっていた。
そう、2人を守るためにどんな対価を差し出すこともいとわぬほどに。

 
7年後再会した彼は昔とは違い、常に冷静沈着で完璧な振る舞いを心がける大人に成長していた。
だが妹のナナリーのことになると、昔以上に取り乱したり感情を爆発させるようになっていた。

人間の本質はそう簡単には変わらない。
ルルーシュを見ているとこころからそうおもう。

「ルルーシュは変わらないね。あの頃のままだ」

そう言った僕の言葉の裏にある根拠を彼に説明したら、きっとすごく怒るとおもうから言わないけれど。
ねえルルーシュ、僕だって少しは考えて行動するようになったんだよ?
だから今、目の前に居るルルーシュが向けてくる激しく痛い視線の理由が僕にはわからない。

クールとは程遠い、眉間に激しく寄った皺と歪んだ唇。
青みがかった白目は見事な三白眼になって僕を凝視している。
瞬きもしないし、口端から何か出て来るんじゃないかってくらいはっきり言って怖い。

今朝一番に、放課後空いているかどうかを聞かれて「授業が終わったらすぐにクラブハウスに来てほしい」と言われた時には、この間ナナリーが言っていた手作りプリンを試食させてもらえるのかもなんておめでたいことを考えていたのに。
ナナリーに話しかけている中等部の男子生徒を見かけた時に彼が一瞬見せる鬼のような…そんな表情が固定されてすでに3分は経過した。

僕はリビングルームの弾力あるソファでまさに居心地悪そうに身をよじらせた後、その視線と沈黙に耐えきれずに口を開いた。

「ルルーシュあの「スザク、お前に任せたのが間違いだった」……え?」

僕の言葉を遮り、深くため息を漏らすルルーシュ。
僕は、何かルルーシュに任されていただろうか?
少なくともナナリーに関しては今のところおもい当たる節がないのだけれど…きっと聞いたらものすごい勢いでお説教される。
今までの経験を活かして僕はルルーシュの言葉の続きを待つことにした。

憮然としたルルーシュは学生服の内ポケットから一枚の写真を取り出すとテーブルの上に置き、僕の前へとずいっと差し出してきた。

そこに写っていたのは、チアガール姿の僕と特派の相棒。

「あれ?なんでこれをルルーシュが持ってるの?」

「スーザークーーーーー!!!!!!」

ぷちっと血管が切れる音がしたんじゃないかとおもうくらいの勢いでルルーシュの理性は決壊し、咲世子さんとナナリーが散歩から帰ってきて止めに入ってくれるまでの1時間半を僕はルルーシュの説教を聞きながら過ごしたのだった。


つまりこういうことだ。

ルルーシュが夕食の誘いに彼の部屋へ行くと、ベッドに突っ伏した彼の身体の下からこの写真がはみ出ていたらしい。
揺すぶり起こして事情を問えば、その日軍の催しで恒例の女装コンテストがあり、特派代表として僕と一緒に出場したのだという。

『副賞として貰える僅かな補助金の為に、何よりスザクの為にがんばったんだけど…3位だったんだ。
チアガールの格好だけじゃ芸がないからアクロバットな技もいくつか取り入れたんだけど、どうやらそれが男くさすぎて減点になってしまって……』

彼の口調と遠い視線まで真似するルルーシュの目じりが光っているのは気のせいじゃないけど、敢えて触れないでおいた。

「スザク!軍にいる時のあいつを守るのはお前の役目だろうが!だがお前は目の前の欲に目が眩み、あいつのプライドまでブリタニア軍に売り渡した!
許せん、断じて許せん!お前には責任取って軍を辞めるぐらいのことをしてもらう程に、俺は猛烈に腹を立てている」
「お兄様、そろそろスザクさんを許してあげてくれませんか?」

ナナリーの出してくれた助け舟に乗り、僕はようやくルルーシュに謝罪した(今まで一言も発言させてもらえなかったから)。

「ルルーシュ、僕が悪かった。これからはコンテストにはなるべく僕一人で参加するよ」
「そういう問題じゃないぞスザク」

まだずいぶんと機嫌は悪そうだったけれど、ようやく咲世子さんのいれてくれた紅茶に手を伸ばしたルルーシュを見て僕はお説教の終了を確認してほっとする。
それにしても……彼はいつの間にかルルーシュにものすごく愛されているんだなあと分かって何だかすごく嬉しくなった。

今頃彼は政庁でくしゃみをしているんじゃないだろうか。
ルルーシュは過保護だから、これからはもっと僕も彼に気を遣わなくちゃいけないけれど。
でも、それもすごく嬉しい。

彼が必要だとされる場所が、帰る場所がこの世界にもっとたくさん増えますように。
願わくば僕がその場所の一つになれますように−−

そして僕も、すっかりと冷めてしまった紅茶に口をつけた。
温くなっても変わることない茶葉の香りと、ここに居られる幸せを胸一杯に吸い込みながら。


(終)
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