LO/ST CO/LO/RSの創作S/S+ラクガキブログ。
白騎士コンビを贔屓ぎみですが主人公最愛・オールキャラと言い切ります!
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スザク誕生日S/S、完結編です。通勤電車で書いていたのですが、とても長くなってしまいびっくりしました。
みんなにしあわせになってほしいです。
ロスカラは楽しく気楽に作品をかいていくつもりだったのに、脳内妄想が半端なくて一つの大きな話になりつつあります…そうするとどんどん作品を仕上げる速度が落ちていくのですが、毎日特派のことを考えています(おい)。
そしてアンソロジー準備をぐりぐりしています。
今外に流れ星を観に行ってみました。1個見れました!でも10個くらい蚊に喰われてますorz
最後になりましたが拍手ボタンを押してくださった皆様本当にありがとうございます。ものすごく嬉しいです。
これからは更に更新が亀になってしまうとおもいますが、アンソロサイト共々また遊びにきてくださいね!
みんなにしあわせになってほしいです。
ロスカラは楽しく気楽に作品をかいていくつもりだったのに、脳内妄想が半端なくて一つの大きな話になりつつあります…そうするとどんどん作品を仕上げる速度が落ちていくのですが、毎日特派のことを考えています(おい)。
そしてアンソロジー準備をぐりぐりしています。
今外に流れ星を観に行ってみました。1個見れました!でも10個くらい蚊に喰われてますorz
最後になりましたが拍手ボタンを押してくださった皆様本当にありがとうございます。ものすごく嬉しいです。
これからは更に更新が亀になってしまうとおもいますが、アンソロサイト共々また遊びにきてくださいね!
数秒の沈黙のあとに、聴き心地のよい穏やかな声が流れてくる。
「…スザク、今君は何をしているだろうか。実はその、ずいぶんと遅い時間になってしまったんだが……僕は今、政庁に着いたところだ。このメッセージに気付いたら、騎士宿舎の裏庭まで来てくれないか。そこで、贈り物の用意をして待っているから。じゃあ…また後で」
聞き終えた瞬間僕は全速力で駆け出していた。
もうあれからだいぶ経っている。走りながら腕時計をみれば23時45分を回っていた。
ほっとしたのと驚いたのと、どうか今日に間に合いますようにという願いがぐちゃぐちゃになって、泣いているわけでもないのに鼻の奥がつんとして痛い。
君は全然わかってないよ。
今日一番に贈ってくれた君の言葉をどれほど僕が嬉しかったのか。
『誕生日おめでとう。そしてありがとう。スザクが生まれてきてくれたことに、僕たちに出会ってくれたことに…こころから感謝をしている』
どこにいても何をしていても、もう1人ではないのだと、この生を望んでくれる人たちが確かにいるのだと僕に伝えてくれた。
だから今日が休みじゃなくてみんなに会えなくても、本当に幸せだとおもえたんだ。
それなのに君はいつだって僕に過ぎた幸福を与えようとするから−ー
幸いエレベーターはさっきこのフロアに来た時のままだった。
地上フロアのパネルに触れると静かに扉が閉まり、ガラス張りの箱は音もなく下降を始める。
今日はほぼ満月で、月明かりに照らされた政庁の敷地が一望できた。
ぐんぐんと眼下に迫ってくる地面。僕は見えるはずのない騎士宿舎の裏手へと視線を向ける。
すると何かが宿舎の屋根上あたりできらめいた。だがまばたきの間に輝きは見えなくなり、エレベーターは地上フロアへと到着した。
僕は光の見えた、建物の東側に向かってまっすぐ走った。
そしてようやくその角を曲がったところで−−目にした姿に息を呑んだ。
こちらを向いて月明かりの中に佇む彼は、薄衣一枚を身に纏い両手にはまばゆい宝飾の施された剣を下げている。
微動だにしないその体躯、伏せられた瞼。
白い肌に落ちる青白い陰影はまるでギリシア彫刻のようで、わずかな風にたなびく鈍い光をたたえた銀髪と金糸の織り込まれた衣装、そして胸元と肩に走る引き吊れた銃創痕だけが彼が生身の人間であることを示していた。
綺麗だ。
それ以外には言葉が浮かんでこない。
−−−きっと、彼のプレゼントは物じゃない。
「僕たちはお互いに過去を失っている」
かつてそう言った彼と、だから二人で新しく積み重ねていく記憶はきっと何より大切なものになるとおもっていた。
それが僕の独りよがりじゃなくて、同じおもいだといつも言葉と行動で教えてくれた彼だから−−今日会いに来てくれたんだ。
彼は俯いていた顔を上げてゆっくりと目を開けた。
そして胸の前で腕を交差させ剣を構えると、佇まいの中で唯一強い色彩を持ったサファイアブルーの瞳が細められ、よく通る声でたった一言言った。
“It's for you.”
そのまま音もなく動き出した彼から僕は目が離せなくなる。
静寂の中に響くのは己の息遣いと僅かに鳴る空気を斬る音だけ。
双剣を天高く振り投げて、落下に合わせ高く跳び中空でその柄を掴む。
地上に降り立つまでに弧を描くように振り抜けば、月の光を反射した刃は美しい軌跡を描いた。
スザクはその一挙手一投足をじっと見つめている。
かつて自分が生きた時代は、舞踏には神をも動かす特別な力が宿り奇蹟が起きると信じられていた。
だから戦の前や祝宴には付きもので、自分も幼き頃から数多くの型を教え込まれ、折りにふれては踊らされてきた。
ある時は父王に請われ、そして妹に請われて。
神など信じてはいなかったし、装束も所作も性に合わなかった。
だが神や王の為でなく、愛する妹のためだけに踊ることは決して苦ではなかった。王になった後でさえ、請われればその望みに応えた。
今、僕はスザクのために踊っている。
神ではなく彼自身へ捧げる祈りを込めて、指先の一つ一つにまで神経を張り巡らせる。
スザクが自らの幸せを求めるように、その望みが一日でも早く叶うように、彼の笑顔が曇ることのないように。
この踊りには、ギアスのような力はない。
だがもしもスザクが妹のように喜んでくれるならば、それだけで充分だ。
僕はクライマックスに向かい更に高く跳んだ。
その頃ユーフェミアは、専用回線からゼロに電話していた。
『ユーフェミア?こんな時間にどうしたんだ』
「あの…、ゼロ!今日は本当にありがとうごさいました!タルトはすごくおいしかったです。スザクからもあなたへのお礼を言われました!だから」
『ユーフェミア、知っての通り私は多忙な身だ。今日のような私的な頼みをきくのはこれが最初で最後だとおもってほしい』
自分の話を遮るように告げられたゼロの言葉に、これで話は終わりだというわずかな拒絶を感じ、ユーフェミアは続けようとしていた言葉を黙って飲み込んだ。
「……でも、本当に…スザクはとても喜んでいました。それだけはあなたに知っておいてほしかったのです。ゼロ、夜遅くにごめんなさい。ではおやすみなさい」
『ああ、おやすみユーフェミア』
変声器越しでも感じられる優しさを含んだその声を聴き安堵した途端、回線はプツリと途切れた。
無音になった受話器をゆっくりとベッドサイドへと戻しながら、ユーフェミアは伝えることのできなかった願いをそっと口にする。
「…でもね、ルルーシュ。いつかはスザクにも……わかってもらえるとおもうのです」
ベッドルームの明かりを落としてから仮面を外し、ルルーシュはカーテンを細く開けると政庁の中庭を見下ろした。
目の前にあるガラスには煌々と輝くオッドアイを宿した己の顔が映っている。
その口元にわずかな笑みが浮かんでいることに気付き、そんな自分を内心で嘲笑う。
「…呆れるほど素直じゃないな、俺は」
もうスザクに何かしてやることなど、生涯叶わないとおもっていたのに。
ユフィには本当に感謝している。
おかげであいつの誕生日を祝うことができた。
「なぁユフィ、それだけで俺には充分なんだ。そしてハッピーバースデースザク」
月を見上げ薄く微笑んだルルーシュは、伝えることのできなかった言葉をそっとひとりごちた。
−−−どのくらい見とれていたのだろう。
今までになく高く振り投げられた一本の剣は、宙で止まったように見えた。
しかし次の瞬間それはまるでバトンのように高速回転しながら、彼の頭上目掛けて真っ直ぐに落下する。
「あぶない!」
我に返った僕は弾かれたように彼目掛けて走り出した。
だがその刹那、彼が手にしたもう一本の剣は落ちてきた剣と交差し辺りに高い金属音が響く。
しかし僕の勢いは止まらず、双剣を手にして元の姿勢に戻った彼をその刃ごと全力で押し倒してしまった。
「ああっ−−−!!大丈夫かい!?」
慌てて身を起こすと、僕の下で彼は剣を抱きしめていた。どこも怪我はしていなかった。
「大丈夫、これはロイドさんに借りたイミテーションなんだ。もし昔だったら、本物を使っていたから今頃大変だったけれどね。それにしても…君が来るまで少し練習していたんだが、そんなに僕の剣さばきは危なっかしかったかい?」
照れたように笑う彼に、勘違いして抱きついてしまった自分が急に恥ずかしくなった。顔に集まった熱を隠したいけどもう手遅れで耳まで熱い。
そんな僕を見て彼の微笑みはますます深くなる。
「スザク、改めて誕生日おめでとう」
「うん、ありがとう…すごく綺麗で感動した。今までで一番すてきなプレゼントをもらったよ」
「スザクに喜んでもらえて何よりだ。来年も、その次も、スザクが望むなら僕はいつだって君のために踊ろう」
そんな未来へ続く約束を聞いて、僕は今この瞬間に生きていることをこころから幸福だとおもえた。
(終)
「…スザク、今君は何をしているだろうか。実はその、ずいぶんと遅い時間になってしまったんだが……僕は今、政庁に着いたところだ。このメッセージに気付いたら、騎士宿舎の裏庭まで来てくれないか。そこで、贈り物の用意をして待っているから。じゃあ…また後で」
聞き終えた瞬間僕は全速力で駆け出していた。
もうあれからだいぶ経っている。走りながら腕時計をみれば23時45分を回っていた。
ほっとしたのと驚いたのと、どうか今日に間に合いますようにという願いがぐちゃぐちゃになって、泣いているわけでもないのに鼻の奥がつんとして痛い。
君は全然わかってないよ。
今日一番に贈ってくれた君の言葉をどれほど僕が嬉しかったのか。
『誕生日おめでとう。そしてありがとう。スザクが生まれてきてくれたことに、僕たちに出会ってくれたことに…こころから感謝をしている』
どこにいても何をしていても、もう1人ではないのだと、この生を望んでくれる人たちが確かにいるのだと僕に伝えてくれた。
だから今日が休みじゃなくてみんなに会えなくても、本当に幸せだとおもえたんだ。
それなのに君はいつだって僕に過ぎた幸福を与えようとするから−ー
幸いエレベーターはさっきこのフロアに来た時のままだった。
地上フロアのパネルに触れると静かに扉が閉まり、ガラス張りの箱は音もなく下降を始める。
今日はほぼ満月で、月明かりに照らされた政庁の敷地が一望できた。
ぐんぐんと眼下に迫ってくる地面。僕は見えるはずのない騎士宿舎の裏手へと視線を向ける。
すると何かが宿舎の屋根上あたりできらめいた。だがまばたきの間に輝きは見えなくなり、エレベーターは地上フロアへと到着した。
僕は光の見えた、建物の東側に向かってまっすぐ走った。
そしてようやくその角を曲がったところで−−目にした姿に息を呑んだ。
こちらを向いて月明かりの中に佇む彼は、薄衣一枚を身に纏い両手にはまばゆい宝飾の施された剣を下げている。
微動だにしないその体躯、伏せられた瞼。
白い肌に落ちる青白い陰影はまるでギリシア彫刻のようで、わずかな風にたなびく鈍い光をたたえた銀髪と金糸の織り込まれた衣装、そして胸元と肩に走る引き吊れた銃創痕だけが彼が生身の人間であることを示していた。
綺麗だ。
それ以外には言葉が浮かんでこない。
−−−きっと、彼のプレゼントは物じゃない。
「僕たちはお互いに過去を失っている」
かつてそう言った彼と、だから二人で新しく積み重ねていく記憶はきっと何より大切なものになるとおもっていた。
それが僕の独りよがりじゃなくて、同じおもいだといつも言葉と行動で教えてくれた彼だから−−今日会いに来てくれたんだ。
彼は俯いていた顔を上げてゆっくりと目を開けた。
そして胸の前で腕を交差させ剣を構えると、佇まいの中で唯一強い色彩を持ったサファイアブルーの瞳が細められ、よく通る声でたった一言言った。
“It's for you.”
そのまま音もなく動き出した彼から僕は目が離せなくなる。
静寂の中に響くのは己の息遣いと僅かに鳴る空気を斬る音だけ。
双剣を天高く振り投げて、落下に合わせ高く跳び中空でその柄を掴む。
地上に降り立つまでに弧を描くように振り抜けば、月の光を反射した刃は美しい軌跡を描いた。
スザクはその一挙手一投足をじっと見つめている。
かつて自分が生きた時代は、舞踏には神をも動かす特別な力が宿り奇蹟が起きると信じられていた。
だから戦の前や祝宴には付きもので、自分も幼き頃から数多くの型を教え込まれ、折りにふれては踊らされてきた。
ある時は父王に請われ、そして妹に請われて。
神など信じてはいなかったし、装束も所作も性に合わなかった。
だが神や王の為でなく、愛する妹のためだけに踊ることは決して苦ではなかった。王になった後でさえ、請われればその望みに応えた。
今、僕はスザクのために踊っている。
神ではなく彼自身へ捧げる祈りを込めて、指先の一つ一つにまで神経を張り巡らせる。
スザクが自らの幸せを求めるように、その望みが一日でも早く叶うように、彼の笑顔が曇ることのないように。
この踊りには、ギアスのような力はない。
だがもしもスザクが妹のように喜んでくれるならば、それだけで充分だ。
僕はクライマックスに向かい更に高く跳んだ。
その頃ユーフェミアは、専用回線からゼロに電話していた。
『ユーフェミア?こんな時間にどうしたんだ』
「あの…、ゼロ!今日は本当にありがとうごさいました!タルトはすごくおいしかったです。スザクからもあなたへのお礼を言われました!だから」
『ユーフェミア、知っての通り私は多忙な身だ。今日のような私的な頼みをきくのはこれが最初で最後だとおもってほしい』
自分の話を遮るように告げられたゼロの言葉に、これで話は終わりだというわずかな拒絶を感じ、ユーフェミアは続けようとしていた言葉を黙って飲み込んだ。
「……でも、本当に…スザクはとても喜んでいました。それだけはあなたに知っておいてほしかったのです。ゼロ、夜遅くにごめんなさい。ではおやすみなさい」
『ああ、おやすみユーフェミア』
変声器越しでも感じられる優しさを含んだその声を聴き安堵した途端、回線はプツリと途切れた。
無音になった受話器をゆっくりとベッドサイドへと戻しながら、ユーフェミアは伝えることのできなかった願いをそっと口にする。
「…でもね、ルルーシュ。いつかはスザクにも……わかってもらえるとおもうのです」
ベッドルームの明かりを落としてから仮面を外し、ルルーシュはカーテンを細く開けると政庁の中庭を見下ろした。
目の前にあるガラスには煌々と輝くオッドアイを宿した己の顔が映っている。
その口元にわずかな笑みが浮かんでいることに気付き、そんな自分を内心で嘲笑う。
「…呆れるほど素直じゃないな、俺は」
もうスザクに何かしてやることなど、生涯叶わないとおもっていたのに。
ユフィには本当に感謝している。
おかげであいつの誕生日を祝うことができた。
「なぁユフィ、それだけで俺には充分なんだ。そしてハッピーバースデースザク」
月を見上げ薄く微笑んだルルーシュは、伝えることのできなかった言葉をそっとひとりごちた。
−−−どのくらい見とれていたのだろう。
今までになく高く振り投げられた一本の剣は、宙で止まったように見えた。
しかし次の瞬間それはまるでバトンのように高速回転しながら、彼の頭上目掛けて真っ直ぐに落下する。
「あぶない!」
我に返った僕は弾かれたように彼目掛けて走り出した。
だがその刹那、彼が手にしたもう一本の剣は落ちてきた剣と交差し辺りに高い金属音が響く。
しかし僕の勢いは止まらず、双剣を手にして元の姿勢に戻った彼をその刃ごと全力で押し倒してしまった。
「ああっ−−−!!大丈夫かい!?」
慌てて身を起こすと、僕の下で彼は剣を抱きしめていた。どこも怪我はしていなかった。
「大丈夫、これはロイドさんに借りたイミテーションなんだ。もし昔だったら、本物を使っていたから今頃大変だったけれどね。それにしても…君が来るまで少し練習していたんだが、そんなに僕の剣さばきは危なっかしかったかい?」
照れたように笑う彼に、勘違いして抱きついてしまった自分が急に恥ずかしくなった。顔に集まった熱を隠したいけどもう手遅れで耳まで熱い。
そんな僕を見て彼の微笑みはますます深くなる。
「スザク、改めて誕生日おめでとう」
「うん、ありがとう…すごく綺麗で感動した。今までで一番すてきなプレゼントをもらったよ」
「スザクに喜んでもらえて何よりだ。来年も、その次も、スザクが望むなら僕はいつだって君のために踊ろう」
そんな未来へ続く約束を聞いて、僕は今この瞬間に生きていることをこころから幸福だとおもえた。
(終)
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