LO/ST CO/LO/RSの創作S/S+ラクガキブログ。
白騎士コンビを贔屓ぎみですが主人公最愛・オールキャラと言い切ります!
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◆2009/8/2 スザクBDSS追記しました
日付が変わる前に何とか!でも未完です…スザクごめんね(涙)
今日中には家に着かないので、移動中に書いた分だけ折りたたんだ先に。
主人公誕生日SS「さくら」の続きで、特派ルートスザクED後な世界観です。
完成したらタイトル共々アップし直します。←タイトルはアップしました
誕生日がわかっているキャラクターは本当に嬉しいです。
主人公とシャーリーの小話完成の前に、スザク誕生日SSの方が先に脳内進行しました。ごめんねシャーリーorz
とにかくスザクおめでとう!
日付が変わる前に何とか!でも未完です…スザクごめんね(涙)
今日中には家に着かないので、移動中に書いた分だけ折りたたんだ先に。
主人公誕生日SS「さくら」の続きで、特派ルートスザクED後な世界観です。
誕生日がわかっているキャラクターは本当に嬉しいです。
主人公とシャーリーの小話完成の前に、スザク誕生日SSの方が先に脳内進行しました。ごめんねシャーリーorz
とにかくスザクおめでとう!
「無理を言ってすみません」
「いや、ただ壁に飾ってあったのを持ってきただけだから」
はい、と片手で渡されたそれはとても軽いものだった。少し扱いづらいかもしれないが仕方ない。
「んふふ〜、君もスザクくんも本当に欲のない子だからね。君からのプレゼント、きっと喜んでくれるとおもうよ」
「そうだといいんですが…ではこれはお借りします。ロイドさん、送って下さってありがとうございました」
ひらひらと運転席の窓から手を振り見送ってくれたロイドさんに振り向き際にもう一度礼をして、僕はその細長い包みを背負ったまま駅の階段を駆け上がった。
そしてシズオカ行きの最終特急に乗り、スザクの元へと向かう。
変な所で足止めを食わないように、ブリタニア軍の制服を着たままで。
今日はスザクが、特区日本で迎える初めての誕生日。
だからどうしても祝いたかった。
祈りを込めて。
僕に生きる意味をくれた君に、贈り物をしたくて。
「スザク、今行くよ」
ドアが閉まる音を耳にしながらおもわずそう呟いた。
今は日が長いので、夜の闇はどことなくぼんやりとした日の光をはらんでいる。
窓の外を流れていく街明かりはシンジュクが遠ざかるにつれて数を減らし、空よりずっと濃い闇に沈む山々に取って代わっていった。
それを眺めながら僕は頭の中で手順を思い描いていた。
+++++
前触れもなく胸の辺りに走った振動に、反射的に手を押し当てた。
「スザク、どうかしましたか?」
目の前にいたユフィが心配そうな顔をこちらに向けてくる。
僕は彼女に向かってその正体、薔薇のモチーフが彫り込まれた携帯端末を見せた。
「メッセージのお知らせだよ」
「あら、もうそんな時間なのですね!」
大きな目をぱちぱちとさせながら、ユフィは楽しそうに笑うと手にしていたフォークを口に運んだ。
特区日本では、日本人に対する様々な規制が緩和されている。
先月には、特区エリア限定で使用可能な携帯端末の販売がブリタニア本国からようやく認可された。
着信なら、特区外からでもメッセージを吹き込むことができる。
僕は21時に自動的に録音の有無を知らせるアラームをセットしていた。
この端末を手にした日から、毎日欠かすことなくメッセージを吹き込んでくれるナナリーと僕の相棒。
今では特区にいることが殆どで、2人とリアルタイムで話をする機会はずいぶん減ってしまったけれど、毎晩そのメッセージを聴くだけでどんな疲れも不安も癒やされるようだった。
「今日はロイドさん、セシルさん、ミレイ会長にシャーリーにリヴァルも…はは、ずいぶんたくさん吹き込んでくれたみたいだ」
「ふふ、みんなスザクにおめでとうって言いたかったんですよ」
僕がカチカチとメッセージリストをスクロールしていると、ユフィは紅茶とお菓子のおかわりを用意するために立ち上がりワゴンへと向かった。
本日分の特区日本ユーフェミア代表としての公務はすべて終了している。今は僕の主であり大切な友人でもある彼女のはからいで、二人でお茶を飲んでいるところだった。
ユフィがわざわざブリタニア本国から取り寄せてくれた「誕生日」という名のついた花の香りがする紅茶に、フルーツのたくさん載った素朴な味のカスタードタルト。タルトは甘さ控えめで、一つ一つの果物の味が際立っていてとてもおいしい。
「お茶もタルトもすごく美味しい。ユフィがお店に注文してくれたの?」
「ある人に頼んで特別に作ってもらったんです。残念ですが、私にはケーキは作れませんから…」
ユフィは恥ずかしそうに言って、僕のために大きめにカットしたタルトを皿に載せた。
手伝うよと声をかけると誕生日なのだから座っていてくださいと言われ、僕は少々危なっかしい手付きでポットの支度をするユフィをソファに腰掛けて見守っていた。
唯一メッセージの入っていなかった生徒会メンバー−−ルルーシュがよく紅茶を淹れてくれた時のことを思い出しながら。
「スザク、まだまだおかわりはたくさんありますからね!」
「ありがとうユフィ」
ユフィがおかわりをテーブルに並べてくれていたその時、しまおうとした携帯端末がチカチカと青く点灯した。まさに今…誰かがメッセージを入れてくれているのだ。
これが普通の携帯電話だったら、もしもしと応じることが出来たのに。
その相手がもしルルーシュだったら−−−
僕はこの番号を知るはずのない友人からの着信の可能性を想像して、自分に与えられた端末にその機能がないことに内心で歯噛みしながら、録音が終了するまでその青い光が点滅するのをじっと見つめていた。
2人きりのお茶会がお開きになったのは、22時半を少し回ったところだった。
明日も朝から公務がびっしりと詰まっているにも関わらず、あともう少しだけ大丈夫ですと言って時間を伸ばしていたのはユフィだったけれど−−その優しさに甘えすぎてしまったことに、時計を見上げた僕は今更ながらに反省した。
「ユフィ、こんな遅い時間までごめんね」
「もうっスザク!そんな風に謝らないでください。こうしてあなたを祝うことができたのは、私にはとても嬉しいことなんですよ?」
頬を膨らませて怒るユフィにはちっとも迫力はないけれど、その眼差しには言葉通りの真摯なおもいがこもっていて、だから。
「……ユフィ、本当にありがとう」
今度は素直に感謝の言葉を口にすると、途端に彼女は慈愛に満ちた微笑みを浮かべてその柔らかな手のひらを僕の手に重ねてくれる。
そのまま僕たちは無言で手を繋いで、政庁内にある特区代表の住居フロアへと向かった。
一年前の自分には想像することなどできなかった穏やかな時間。
ささやかなパーティーの終わりを惜しむその沈黙すら温かくて、胸が幸福な感情でいっぱいになる。
無事にドアの前までユフィを送り届けると、改めて今日のお礼と、僕のためにタルトを焼いてくれた名も知らぬ誰かへの感謝を伝えた。
光の加減だろうか、一瞬ユフィの表情が淋しそうに見えた気がした。
「スザクの言葉、その方にも必ず伝えますね。ではおやすみなさい」
「おやすみユフィ」
僕は名残惜しそうに握手の手を離したユフィがドアの向こうに消えるまで、その場に立って見送った。
ふと腕時計の針を見れば、僕の誕生日が終わるまであと1時間を切っている。
そういえばみんなの入れてくれたメッセージをまだ聴いていなかった。
身を乗り出して端末を覗き込んでいたにも関わらず、ユフィは僕がメッセージを再生しようとするのを手で遮った。
「ダメです!このメッセージはスザクへのプレゼントなんですから、私のいないところで聴いて下さい!」
「そんな、気にしなくても大丈夫だよ」
「ダ、メ、で、す!」
その表情とは裏腹な力強い発言に苦笑しながらも、僕はその意見を聞き入れて携帯端末を胸ポケットにしまったのだった。
廊下を歩きながら端末を取り出した。
シンプルな画面には「新規録音一件」の文字が表示されている。
さっきのメッセージは一体誰だったんだろう。
あとは神楽耶くらいしか…可能性としては殆どありえないが、もう僕には相手に心当たりはなかった。
確認ボタンを押し込むと、小さな画面には僕の相棒の名前が浮かび上がった。
おもわず端末を操作していた指が止まる。
浮かれていた自分に与えられた相応しい罰−−悪い予感に息を呑んだ。
ナナリーと彼からは今日日付が変わってすぐにメッセージが入って、その後は電話でも話した。
来週租界に戻った時には、特派と生徒会のみんなで僕の誕生パーティーをする準備をしてくれていること。
その打ち合わせでロイドさんとミレイ会長が頻繁に会うようになったことや、僕が行けなかったシャーリーの誕生会のこと。
代わる代わるに受話器を回すナナリーと3人で、珍しく1時間近くも話し込んだ。
仕事でお互いに自由な時間は限られているし、男同士が電話で話すことなんてたかが知れている。
それなのに毎日話題を見つけては、欠かさずに録音メッセージを吹き込んでくれる彼の気遣いには本当に感謝をしていた。
それでも今まで、1日に2回もかけてくることはなかった。
本当に緊急な要件ならば政庁宛てにかかってくるはず、そうやって自分を励ましてはみたもののやはり再生するのには勇気が要る。
もしもプライベートなアクシデントだったら−−公私をはっきり分ける彼の性格だ、軍務に関係がなければどんなに一刻を争う内容でも政庁にかけてはこないだろう。
僕は何度か深呼吸をし覚悟を決めて再生ボタンを押すと、端末を耳に押し当てた。
(続く) →2
「いや、ただ壁に飾ってあったのを持ってきただけだから」
はい、と片手で渡されたそれはとても軽いものだった。少し扱いづらいかもしれないが仕方ない。
「んふふ〜、君もスザクくんも本当に欲のない子だからね。君からのプレゼント、きっと喜んでくれるとおもうよ」
「そうだといいんですが…ではこれはお借りします。ロイドさん、送って下さってありがとうございました」
ひらひらと運転席の窓から手を振り見送ってくれたロイドさんに振り向き際にもう一度礼をして、僕はその細長い包みを背負ったまま駅の階段を駆け上がった。
そしてシズオカ行きの最終特急に乗り、スザクの元へと向かう。
変な所で足止めを食わないように、ブリタニア軍の制服を着たままで。
今日はスザクが、特区日本で迎える初めての誕生日。
だからどうしても祝いたかった。
祈りを込めて。
僕に生きる意味をくれた君に、贈り物をしたくて。
「スザク、今行くよ」
ドアが閉まる音を耳にしながらおもわずそう呟いた。
今は日が長いので、夜の闇はどことなくぼんやりとした日の光をはらんでいる。
窓の外を流れていく街明かりはシンジュクが遠ざかるにつれて数を減らし、空よりずっと濃い闇に沈む山々に取って代わっていった。
それを眺めながら僕は頭の中で手順を思い描いていた。
+++++
前触れもなく胸の辺りに走った振動に、反射的に手を押し当てた。
「スザク、どうかしましたか?」
目の前にいたユフィが心配そうな顔をこちらに向けてくる。
僕は彼女に向かってその正体、薔薇のモチーフが彫り込まれた携帯端末を見せた。
「メッセージのお知らせだよ」
「あら、もうそんな時間なのですね!」
大きな目をぱちぱちとさせながら、ユフィは楽しそうに笑うと手にしていたフォークを口に運んだ。
特区日本では、日本人に対する様々な規制が緩和されている。
先月には、特区エリア限定で使用可能な携帯端末の販売がブリタニア本国からようやく認可された。
着信なら、特区外からでもメッセージを吹き込むことができる。
僕は21時に自動的に録音の有無を知らせるアラームをセットしていた。
この端末を手にした日から、毎日欠かすことなくメッセージを吹き込んでくれるナナリーと僕の相棒。
今では特区にいることが殆どで、2人とリアルタイムで話をする機会はずいぶん減ってしまったけれど、毎晩そのメッセージを聴くだけでどんな疲れも不安も癒やされるようだった。
「今日はロイドさん、セシルさん、ミレイ会長にシャーリーにリヴァルも…はは、ずいぶんたくさん吹き込んでくれたみたいだ」
「ふふ、みんなスザクにおめでとうって言いたかったんですよ」
僕がカチカチとメッセージリストをスクロールしていると、ユフィは紅茶とお菓子のおかわりを用意するために立ち上がりワゴンへと向かった。
本日分の特区日本ユーフェミア代表としての公務はすべて終了している。今は僕の主であり大切な友人でもある彼女のはからいで、二人でお茶を飲んでいるところだった。
ユフィがわざわざブリタニア本国から取り寄せてくれた「誕生日」という名のついた花の香りがする紅茶に、フルーツのたくさん載った素朴な味のカスタードタルト。タルトは甘さ控えめで、一つ一つの果物の味が際立っていてとてもおいしい。
「お茶もタルトもすごく美味しい。ユフィがお店に注文してくれたの?」
「ある人に頼んで特別に作ってもらったんです。残念ですが、私にはケーキは作れませんから…」
ユフィは恥ずかしそうに言って、僕のために大きめにカットしたタルトを皿に載せた。
手伝うよと声をかけると誕生日なのだから座っていてくださいと言われ、僕は少々危なっかしい手付きでポットの支度をするユフィをソファに腰掛けて見守っていた。
唯一メッセージの入っていなかった生徒会メンバー−−ルルーシュがよく紅茶を淹れてくれた時のことを思い出しながら。
「スザク、まだまだおかわりはたくさんありますからね!」
「ありがとうユフィ」
ユフィがおかわりをテーブルに並べてくれていたその時、しまおうとした携帯端末がチカチカと青く点灯した。まさに今…誰かがメッセージを入れてくれているのだ。
これが普通の携帯電話だったら、もしもしと応じることが出来たのに。
その相手がもしルルーシュだったら−−−
僕はこの番号を知るはずのない友人からの着信の可能性を想像して、自分に与えられた端末にその機能がないことに内心で歯噛みしながら、録音が終了するまでその青い光が点滅するのをじっと見つめていた。
2人きりのお茶会がお開きになったのは、22時半を少し回ったところだった。
明日も朝から公務がびっしりと詰まっているにも関わらず、あともう少しだけ大丈夫ですと言って時間を伸ばしていたのはユフィだったけれど−−その優しさに甘えすぎてしまったことに、時計を見上げた僕は今更ながらに反省した。
「ユフィ、こんな遅い時間までごめんね」
「もうっスザク!そんな風に謝らないでください。こうしてあなたを祝うことができたのは、私にはとても嬉しいことなんですよ?」
頬を膨らませて怒るユフィにはちっとも迫力はないけれど、その眼差しには言葉通りの真摯なおもいがこもっていて、だから。
「……ユフィ、本当にありがとう」
今度は素直に感謝の言葉を口にすると、途端に彼女は慈愛に満ちた微笑みを浮かべてその柔らかな手のひらを僕の手に重ねてくれる。
そのまま僕たちは無言で手を繋いで、政庁内にある特区代表の住居フロアへと向かった。
一年前の自分には想像することなどできなかった穏やかな時間。
ささやかなパーティーの終わりを惜しむその沈黙すら温かくて、胸が幸福な感情でいっぱいになる。
無事にドアの前までユフィを送り届けると、改めて今日のお礼と、僕のためにタルトを焼いてくれた名も知らぬ誰かへの感謝を伝えた。
光の加減だろうか、一瞬ユフィの表情が淋しそうに見えた気がした。
「スザクの言葉、その方にも必ず伝えますね。ではおやすみなさい」
「おやすみユフィ」
僕は名残惜しそうに握手の手を離したユフィがドアの向こうに消えるまで、その場に立って見送った。
ふと腕時計の針を見れば、僕の誕生日が終わるまであと1時間を切っている。
そういえばみんなの入れてくれたメッセージをまだ聴いていなかった。
身を乗り出して端末を覗き込んでいたにも関わらず、ユフィは僕がメッセージを再生しようとするのを手で遮った。
「ダメです!このメッセージはスザクへのプレゼントなんですから、私のいないところで聴いて下さい!」
「そんな、気にしなくても大丈夫だよ」
「ダ、メ、で、す!」
その表情とは裏腹な力強い発言に苦笑しながらも、僕はその意見を聞き入れて携帯端末を胸ポケットにしまったのだった。
廊下を歩きながら端末を取り出した。
シンプルな画面には「新規録音一件」の文字が表示されている。
さっきのメッセージは一体誰だったんだろう。
あとは神楽耶くらいしか…可能性としては殆どありえないが、もう僕には相手に心当たりはなかった。
確認ボタンを押し込むと、小さな画面には僕の相棒の名前が浮かび上がった。
おもわず端末を操作していた指が止まる。
浮かれていた自分に与えられた相応しい罰−−悪い予感に息を呑んだ。
ナナリーと彼からは今日日付が変わってすぐにメッセージが入って、その後は電話でも話した。
来週租界に戻った時には、特派と生徒会のみんなで僕の誕生パーティーをする準備をしてくれていること。
その打ち合わせでロイドさんとミレイ会長が頻繁に会うようになったことや、僕が行けなかったシャーリーの誕生会のこと。
代わる代わるに受話器を回すナナリーと3人で、珍しく1時間近くも話し込んだ。
仕事でお互いに自由な時間は限られているし、男同士が電話で話すことなんてたかが知れている。
それなのに毎日話題を見つけては、欠かさずに録音メッセージを吹き込んでくれる彼の気遣いには本当に感謝をしていた。
それでも今まで、1日に2回もかけてくることはなかった。
本当に緊急な要件ならば政庁宛てにかかってくるはず、そうやって自分を励ましてはみたもののやはり再生するのには勇気が要る。
もしもプライベートなアクシデントだったら−−公私をはっきり分ける彼の性格だ、軍務に関係がなければどんなに一刻を争う内容でも政庁にかけてはこないだろう。
僕は何度か深呼吸をし覚悟を決めて再生ボタンを押すと、端末を耳に押し当てた。
(続く) →2
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