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LO/ST CO/LO/RSの創作S/S+ラクガキブログ。 白騎士コンビを贔屓ぎみですが主人公最愛・オールキャラと言い切ります!
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久し振りなSS更新。

平和な学園の一コマです。序章の設定で無意識な主人公→スザク。
&無意識レベルで主人公に対して過保護で甘いルルーシュが書きたかったのでした。
別名「スザクを甘やかそう」←だってもうすぐ誕生日だもの(こじつけです)!
…リヴァル、がんばって!

日曜日はmotomiさんのスペースに遊びに行かせてもらいました。
前日体調が悪かったのを引きずっていたので、午後からでした…。プチオンリーのチラシを持っていって下さる方が多くてとても嬉しかったです。チラシの発色もおもっていたより良くて、とりあえずほっとしました。
プチオンリーがんばって下さいと声をかけて下さった方、本当にありがとうございます。微力ながら私も精一杯motomiさんの手足となってがんばりますー。

というか、寝てなくてテンション高すぎてスザクと主人公についてmotomiさんに超語ってしまいました。脳が湧いてて本当にすみませんでしたorz
すてき企画はmotomiさんにお世話になっています。まだまだ準備中ですが、この夏は全力でがんばります!



目に眩しいほど明るい水色をした空には、大きないわし雲がたなびいている。
それを校門のアーチ越しに眺めた僕はしばらくアーサーに触れていなかったことを思い出した。

ロイドさんの気紛れかセシルさんの気遣いなのかはわからないけれど、今日のシミュレータテストが突然午前中だけで終了したので、午後からはアッシュフォード学園に登校できることになった。
特派が間借りしている大学と学園は一本の道路が隔てるだけですぐ目の前にある。
でも僕にとって、それはとても遠い道のりだ。
軍人になってからは曜日の感覚があまりないけれど、授業に出られるのはほぼ半月振りだった。

「学園生活、ちゃんと楽しんでくるのよ」

そう言って送り出してくれたセシルさんの特製おにぎりを辞退してしまったことは少し申し訳なくおもったけれど。
朝のうちに大学の購買で買っておいたサンドイッチの包みを片手にエントランスをくぐり、僕はよく手入れされた緑の芝に覆われた中庭に向かって駆けだした。

視界の隅に、クラブハウスの屋根が映る。生徒会室に行けばアーサーに会えるかもしれない。
瞬間あの温かくてサラサラでふわふわの柔らかな毛並みに触れたい衝動に駆られて−−でもすぐに断念した。
猫は気まぐれだ。
僕には今アーサーが居るかどうかなんてわからない。でも休み時間がもう半分も残っていないことなら知っていたからだ。
僕は更にスピードをあげた。

中庭にある芝生の上では既に食事を終えた学生があちこちでのんびりと歓談している。
速度を緩めずに両脇に視線を走らせたけれど、あいにくどのベンチも芝生のスペースも先客で埋まっていた。
外で食べるのは諦めて教室に行こうと決めると、僕はぐるりと斜め後ろに進路を変えて今度は脇目も振らずに下駄箱へと走った。
ちらりと腕時計に目をやれば、昼休みはもう15分くらいしか残っていなかった。

校舎に入り、軽く息を整えてから大きめの歩幅で廊下を歩く。
教室にいても以前のように咎めるような視線が向けられることはなくなり、僕はここでの学園生活につかの間の安らぎを感じるようになっていた。
空気が読めないとか天然とか、生徒会のみんなにはさんざん言われているけれど、制服を着てこの中にいると無意識に気が緩むようになってしまった自覚ならある。
今もこれからルルーシュたちと他愛のない話をして、それを今度はどんな風にユフィに伝えようかなんてもう考えていて。
これ以上過ぎた幸福に溺れてしまわないようにと、僕は自分の頬をパチンと軽く叩いた。

座って食事ができるだけでも十分なので、飲み物は買わずにまっすぐ教室へと向かった。それよりも時間が惜しい。
すると廊下の一番奥に、ちょうど食堂から戻ってきたらしいルルーシュとリヴァルの姿が現れた。

「ルルーシュ、リヴァル!」

おもわず大きな声で名前を呼んでしまい、その声に剣呑な視線を向けてきたルルーシュとびっくりしたように目を見開いたリヴァルの顔を同時に認めた瞬間には、僕はもう人混みを縫って駆け出していた。

ああまた廊下を走るんじゃないってルルーシュから叱られるなぁとおもいながら、でも足は止まらない。
ルルーシュの形の良い眉がハの字に寄せられて、何かを言おうと口が開く。
しかしその言葉を聴くことなく、腰に鈍い衝撃を受けた僕は前のめりに倒れた。
目の前には手から飛んだサンドイッチの包み、ドーナツの箱、ルルーシュの足そして最後はリノリウムの床−−しっかりと床に両の手を付いてしまい、次の瞬間反射的に振り向いた僕の至近距離には端正な微笑みが映った。

「スザク、久しぶりだな」

「まったくもう…キミってやつは…!」

不覚にも背後を取られて跪いてしまった僕は、そう答えるのがやっとだった。

いくらルルーシュたちに気を取られていたとはいえ、タックルされるまで自分目掛けて走ってきた気配に気が付かないなんて。
さらに胴と右腕に巻き付いた彼の手は完璧に関節を決めてきていて、僕は身を起こすことすらできない…本当に軍人失格だった。

今の気配を殺した動きや自らの背後に寄る者に対して無意識に受け身を構える所を見れば、彼は元々は何かしらの軍事的な訓練を受けていた人物なのだろう。
しかもかなりの手練れだ。

だが今は名前以外の一切の記憶を失っている。
喜怒哀楽といった感情すらも欠如している彼は、日々ルルーシュの指導を受けながら笑顔の練習を続けている只の少年でしかない。
そしてこんな僕に会えたことが嬉しいのだと、その表情と行動のすべてで真っ直ぐに伝えてくれる。
普段は無表情なのに、ルルーシュ仕込みの笑顔だけは本当に見ている方が照れてしまうほどに柔らかく甘やかで。

他意のない感情−−とりわけ好意に慣れない僕は、目の前でこんな笑顔を向けられてしまったらどうしたって何も言えなかった。

周りからは女子の歓声が上がっていたけど、身動きの取れないままバカみたいに彼の顔をまじまじと見つめていた。
さらさらとした彼の長い前髪が、僕のおでこにかかっていてくすぐったい。
ふわふわでやわらかくて、まるで猫の毛みたいだ。
今度頼んで触らせてもらおうかなんて考えていたら、突然ルルーシュの拳骨が降ってきた。

「スザク、何度言ったら解るんだ!廊下を走るんじゃない!くっ、この石頭が!」

首だけを回してルルーシュを見上げると、サンドイッチとドーナツを抱えたまま僕を睨みつけている。ヒラヒラと顔の前で振っている右手の指が少し赤い。

「うん、ごめん。でも久し振りにルルーシュとリヴァルの顔を見たら何だか嬉しくて」

すかさずリヴァルが「俺もスザクに会えて嬉しいぜ〜!」と明るく答えてくれる。
するとルルーシュは珍しく小言なしで、ニヤリと口端を上げて笑った。

「さあ…では次はお前に教育的指導を行う番だな」

ルルーシュは一瞬で笑みを消して唇を真一文字に結ぶと、ぐっと拳を握りしめた。
そしてすっとしゃがみ込み、僕に関節技を決めている彼のおでこにパチンと軽くデコピンを入れる。

「まったくお前まで……頼むから、スザクみたいな人間離れしたことをしないでくれよ?」

「ああ、わかった。廊下は走ってはいけないんだな」

「スザクのようにすぐ人に抱きつくのも止せ。色々と誤解が生じる」

「わかった。それも気をつける」

すぐ目の前で交わされる2人のやり取り。

……前言撤回、僕に対するルルーシュの小言は今回変化球だった。
さっきまでとは大違いのとろけるような微笑みを浮かべるルルーシュに、周りの女子の悲鳴がいっそう大きくなる。

「あとな…たとえリヴァルに頼まれても、授業中にショッピングモールへクリスピー・クリーム・ドーナツを買いに行くのは禁止だ」

「「ルルーシュ、何でわかったんだ?」」

リヴァルと彼の声がピッタリと重なり、途端にルルーシュの眉間に激しく皺が寄る。

「わかるに決まっているだろう!こいつがわざわざ行列に並んでドーナツを買い、猛ダッシュで教室まで届けに来る理由は他に想定できないからな。リヴァル、食べたければ放課後に自力で並んで買うことだ。これはこいつの生活指導を担当している俺が没収する」

「そんな〜!さっき俺、もう会長に限定の味が買えましたってメールしちゃったぜ?」

「知らん」

そしてルルーシュは僕に向かってサンドイッチの包みをを差し出してきた。

「スザク、早く食べないともう昼休みが終わってしまうぞ。ああドーナツも一緒に食べるか?リヴァルの奢りだ」

「ルルーシュ〜!」

悲痛な叫びを上げるリヴァルを気の毒におもいながら、その前に彼を何とかしてほしいんだけどと僕が小声で頼むと、やっとルルーシュは僕にも含みのない笑顔を向けてくれた。

「今度こそ気を付けろよ」といういつもの小言付きで。

ルルーシュの一言であっさりと解放された肩の関節をぐるぐると回しながら僕は立ち上がった。
目の前にはルルーシュに渡されたドーナツの箱を大事そうに抱えた彼が、俯き加減に立っている。
さっきと同じ人間にはおもえないほどに感情の消えたその表情は、僕の方が心配になるほどだった。

声をかけようと顔を覗き込むと突然彼が口を開いた。


「スザク…すまない。君の背中を見つけたら、何だかすごく嬉しくなって…」


僕に会えて嬉しいなんて、そんな顔で言わないでほしい。
少し赤い頬とわずかに細められたその瞳には、彼の精一杯の謝罪がにじみ出ていて。これ以上僕は幸せになんてなっちゃいけないのに。
自分でも頬が緩むのがわかってすごく焦る。

そんな顔をごまかしたくて、彼にもう一度笑って欲しくて大急ぎで言った。

「ねえ、一緒にそのドーナツを食べようよ!」

僕の言葉に彼が返してくれたのは、やっぱりとろけるような笑顔でーーもう今だけは、緩んだ頬と気持ちを自分にも許そうと僕はおもったんだ。
昼休みは、あと5分だけだから。

「スザク−!裏切り者ー!」

ごめんねリヴァル。
心の中で手を合わせながら、僕は大急ぎで彼と一緒にドーナツにかじりついた。

(終)
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